ついにベトナムのバイク販売台数が減少:中国も辿った道

ベトナムバイクメーカー協会(VAMM)によると、2019年の加盟企業5社(ホンダ、ピアジオ、スズキ、SYM、ヤマハ)のオートバイ販売台数が昨年比3.87%減の約325万台であった。このうち約81%の売上をホンダが占め、トップシェアを維持しちえる。

VAMM加盟企業の販売台数だけで97%以上を占めると考えられているが、その販売台数は2015年から堅調に成長してきたが、2019年は減少する形となった。下図はVAMM公式サイトの販売統計より作成したものである。

ベトナム経済自体は米中貿易戦争の漁夫の利により堅調であったが、減少という形になったのは単純にオートバイから自動車へのシフトの動きがあるからだ。

実際、2019年のベトナムでの自動車販売は40万台と過去20年間で記録的な売上となった。この背景には所得向上に伴う乗用車需要の増加もあるが、大気汚染や交通渋滞などからオートバイではなく自動車を利用する人が増えているのが背景だと見られる。

特にハノイでは市内へのバイク乗り入れ禁止方針が決まっており、今後もバイクから自動車へのシフトは止まらないと考えられる。

自転車からオートバイ、オートバイから自動車というのは中国も辿った道である。中国でもバイクの売上減少が長く続いているが、ベトナムも同様にオートバイ市場がピークを迎えたと考えて良いだろう。ベトジョー紙によると、業界関係者の話では2020~2024年もバイク販売台数が減少する見込みである。

参考文献[1]:Vietnam+, “Motorbike sales in Vietnam shrink in 2019”, 14 Jan 2020

参考文献[2]:ベトジョー「19年バイク販売台数、前年比▲5.3%減の320万台―車・電動バイク需要増が影響」2020年1月8日

2020年1月20日追記:ホーチミン人民委員会が、大気汚染の主原因となっている中古バイクの排ガス検査制度の試案策定を承認した。同市のバイク台数は810万台だが、古い排ガス規制EURO2を基準としているため、大気汚染への影響が強い。現行法規ではバイクは車検が義務化されていないので排ガス検査も十分に行われていない。法整備に向ける一歩と見られる。

参考文献:ベトジョー「ホーチミン:中古バイクに対する排ガス検査制度の試行案策定へ」2020年1月20日

こうした環境面への取り組みからも、少しずつバイクに乗ることの旨味が減ってくるので、継続的なバイク市場の縮小に寄与すると思われる。

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