「バブルは二度弾ける」という教訓

新型コロナウイルスの蔓延による世界的な株安に追い打ちをかけるようにWHOがパンデミック宣言をしたことで米国株式市場は弱気相場入りした。このまま景気後退入りはほぼ間違いないと言えるが、一方で経済対策など底を探すような動きもチラホラと見られる。

一時的な反発はあったとしても基本的には弱気相場が続くと考えられるが、注意したいのはまだ本格的な下落はこれからだということだ。

表題の「バブルは二度弾ける」というのは行動ファイナンス研究者の小幡績氏によるものだ。小幡氏がブログで書いている相場感はあまり当てにしていないが、著書『すべての経済はバブルに通じる』で描かれた、バブルは複数のプロセスをかけて本格的に弾ける構造についての洞察からは得るものが多い。

この時重要なのは、バブルが形成されていく時、誰もがバブルだと分かって投資をしているということである。値上がりしていく時はそれに乗らないと投資家は市場平均を超えるリターンを狙えないからである。

問題は1回目に暴落した後、暫くすると安心感が漂うということである。買い戻しにせよ経済政策など株価を上昇させる要因が出てくるからである。

小幡氏の著書が書かれたのは2008年で、基本的には世界金融危機が念頭に置かれたものだ。この時に関して該当部分以下の箇所だ。

 2007年末からの恐怖相場に先駆けて起きた同年8月のサブプライムショックは、明らかにバブルの崩壊が始まったことを示していた。そして、続く9月の乱高下は、8月のショックが一時的な調整局面に過ぎないという認識は誤りであることを示していた。それにもかかわらず、10月11にtいには、ダウ平均株価は最高値を更新した。投資家の誰もが、バブルが終焉局面に入ったことはわかっていたのに、それでもなお、崩壊しかかったバブルの相場に参加していたのである。そして、誰もが予想したとおり、いつか来るはずの真のバブル崩壊は現実のものとなり、翌年の3月に一つのクライマックスを迎えたのであった。

小幡(2008: 206)

今年は米国で大統領選があるので、株高を維持するためにトランプ大統領は様々な経済政策を打ってくるだろう。これが歴史的に大統領選イヤーにおいてバブルが形成されやすい要因だが、これにより今は悲観的なムードでも株価だけに限っては回復する可能性も否定できない。

しかし、例え一時的な反発があったとしても、その後に起こる暴落は今回の暴落以上のものになるかもしれない。

 バブル崩壊における恐怖の頂点は、最後の最後にやってくる。それは突然やってくるものではない。誰もがバブルは崩壊した、もうだめだ、と思ったその直後にやってくる。

 なぜなら、この2度目以降の暴落時においては、誰の目にも回復の見込みがないことは明らかであり、ここはむしろ買いチャンスだ、とは誰も思わないからである。買い手は、大幅下落の後の反発局面と異なり、今度こそ100%不在である。

小幡(2008: 166)
注:太字は筆者による

今回の暴落局面でも、5ちゃんねるの市況版などを見ている限りにおいて、(ポジショントークも当然あるが)反発狙いの投資家は一定数存在した。(暴落しているので「買い豚」と煽られていたが。)

つまり、予想以上に「まだ回復するかもしれない」と考えている投資家が存在すると言える。その期待は一時的に上昇相場を作る可能性はあるが、忘れた頃に破滅的に崩壊するかもしれない。

現状だと「流石にまだ楽観視している投資家なんていないだろう」と思うかもしれない。なんせ退避先の金すら売られてドルに現金化されているくらいだからだ。しかし、大規模な緩和策などで一時的に反発するようなことがあれば、楽観視する投資家は出てくるだろう。

参考文献:小幡績(2008)『すべての経済はバブルに通じる』光文社新書

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

HAL の記事一覧 SlofiAのtwitterアカウント@slofia_finance