ベトナム・ダナン市人民委員会のチュオン・クアン・ギア委員長は、2020年から市独自の都市計画を策定し、その上で企業に投資を呼びかけ、都市計画策定自体には企業を参画させない方針を示した。
ダナンは都市計画に企業を寄せ付けない(VN Express)
- 2019年当初、市はシンガポールのコンサルタント会社2社の合弁企業と契約し、2030年までのマスタープランと2045年までのビジョンを策定
- 都市計画の見直しは過去2年間の市政にとって重要な課題と認識
- 過去5年間で市街地の高層ビル急増で交通システムが悪化
- 企業排除の目的は、都市計画の健全化、透明化、汚職防止
- 2020年は前年2倍に当たる14.4兆ドン(6.2億ドル)を都市インフラに投資
解説
都市計画に民間企業を排除する背景には3つある。まず1つ目は、記事の通り無理な開発により市街地の過密化が進み、ベトナム内でも優れていると評価されていたダナンの交通システムが乱れ、また水処理やごみ処理の問題などインフラに大きな問題が出ていることが挙げられる。
2つ目は、プロジェクトの一部で企業に土地利用権と土地賃借権が譲渡されたが、投資家はこれらの権利を違法に譲渡して利益を得るなどして、州財政に大きな損失をもたらしたということが背景にある。民間企業を都市計画に関与させることで不正や利権の温床になり、腐敗のイメージを取り除きたいベトナムにとって、重要な決定事項である。
3つ目は記事には無いが、コンサルタント会社と市政府との立場で大きな衝突があったことが原因と考えられる。
ダナン市が契約しているコンサルタント会社は、シンガポール政府系のコンサルタント会社サカエ・コーポレート・アドバイザリーとスルバナ・ジュロンによる合弁会社である。このうち、サカエ・コーポレート・アドバイザリーは先日、政府が進めたいリエンチウ港の建設を環境面から反対し、既存のティエンサ港を拡張すべきと提案した。しかし、政府としては軍事上の問題があり意見が衝突したことが、直接的な方針転換の理由と考えられる。
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参考文献:VN Express, “Da Nang to keep businesses at bay from urban planning”, 5 Dec 2019