2020年に生まれるコロナベビーは少ないかもしれない

ツイッターを見ていると「コロナベビー」という単語をチラホラと見かける。新型コロナウイルスが流行した年に生まれた新生児を指すと共に、自宅待機の多さなどから出生数が増加するという推測も見られる。

上記ツイートにもあるように世界的なコンドーム不足が起こっており、日本でも同様の連想買いにより、避妊具を扱うオカモト<5122>は2月以前の水準まで株価を戻している。

オカモト<5122>のチャート
出典:TradingView

子供ができないようにするためのコンドーム需要なのに、子供が増えるという発想は、米国で過去に起こったニューヨーク大停電やアメリカ同時多発テロの際に出生率が一時的に上昇する現象を想像しているのだろう。確かに国によっては暇を持て余した夫婦が子作りに励む可能性はある。

しかし、日本においては逆に出生数は現在の下落トレンド以上に下がると思われる。これはまず、「コロナベビー」という用語が少なからず存在してネガティブに捉えられているだけでなく、母子感染を心配する声も多いからだ。

そして、これは検索トレンドにも現れている。以下はGoogleトレンドにおける「妊活」と「妊娠中絶」に関するトピック検索トレンドである。(データの連続性がある2016年1月以降)

これによると、まず安定していた「妊活」についての検索が2020年2月以降に激減していることが分かる。今の状況で妊娠を望まない人が多いことがよく分かる。

そして逆に「妊娠中絶」に関する検索が大幅に上昇している。2016年12月の増加は東京都武蔵野市の病院での無資格人工中絶事件によるもの、2019年5~7月の増加はアラバマ州での妊娠中絶禁止法などが要因だが、2020年2月以降は中絶関連の目立ったニュースは無いにも関わらず検索量が大幅に増えているのだ。

つまり、検索トレンドから見れば、新型コロナウイルスに留まる社会不安により、妊娠を控えようとする動きだけでなく、既に妊娠している人が中絶を検討する動きも増えている可能性が高い。そうすると、当面の出生数を押し下げる動きが出てきてもおかしくはない。

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