金曜日のダウ平均株価は730.05ドル安で、先物も軟調な状況が続いている。おそらく月曜日の日本株も軟調なスタートになると予想される。
その最大の理由は、NYタイムズなど左派系だけでなく、FOXニュースなど右派系メディアの世論調査でもバイデン有利という状況が報道され、トランプ大統領再選が難しいという見方が強くなってきたからだ。
参考:ブルームバーグ「バイデン氏、トランプ氏が勝った重要6州でリード-NYT紙調査」2020年6月26日
トランプ再選が難しいのは、新型コロナウイルスの感染拡大防止に失敗しただけでなく、デモ活動の広がりによって「第一波」のピークを超えている状況だからだ。しかも、明らかに最近の感染拡大の要因がデモであるが、政治家の「ポリコレ」としては「デモのせい」とは誰も言えないというのが大きい。
株価を気にしているトランプ大統領にとって、経済活動再開を優先したいところであるが、そうすると感染拡大の歯止めがかからず、泣きっ面に蜂の状況である。チャイナウイルスの責任を中国に問うことで支持を高めるという戦略は有り得るが、再び貿易戦争再開となれば肝心の経済に大きな悪影響を与えかねないので、なかなか良い打開策が無いと言える。
米州住友商事会社ワシントン事務所の渡辺亮司氏は、トランプ大統領が再選するには秋以降の第二波が抑えられ、かつ、有効なワクチンが早期に開発されるという「幸運頼み」であると指摘している。
参考:東洋経済オンライン「トランプ大統領再選の可能性はもうないのか」2020年6月27日
実際には寧ろ米国では変異株が増加しているという報告もあり、ワクチンが早期に開発されるというのは希望的観測である。通常、この種のウイルスは時間が経つほどに弱毒化していくことの方が多い(強毒化するとヒトヒト感染する前に感染者が亡くなってしまいやすいから)が、報告では強毒化とは限らないが、感染しやすい状況になっているという。
参考:ニューズウィーク「米南部の感染爆発は変異株の仕業?」2020年6月25日
筆者がこの件について見る限りにおいては、「効くかどうか分からない既存の薬など」をどんどん投与しているが故に、「中途半端に効く薬」に対して生き残ったウイルスが耐性を持つようになるというところにあるだろう。ただでさえ新型コロナウイルスは変異が早いウイルスと言われており、状況はよろしくない。