タイで電子商取引の規制当局を務める政府機関ETDA(電子取引開発局)はこの度、戦略的パートナーを通じて10億バーツ(約35億円)を投資し、アリババやJD.comのような世界的企業と競争できる国産eコマースプラットフォームを構築する計画を発表した。
2019年に3.3兆バーツ(約11.5兆円)の市場規模が予測されるタイの電子商取引において、国内企業の活躍機会を増やすことが目的であり、National Innovation Agency (NIA)と提携している。
ETDAは、タイのeコマースプラットフォームであるTarad.com(現在は楽天傘下)とオンラインストア作成プラットフォームLNWshop.comと協力して国産eコマースプラットフォームを構築するという。
コードネームはDurian(ドリアン)であり、1,000万バーツの投資を皮切りに、クラウドファンディングやICO、投資家からの資金調達により今後6ヶ月以内に10億バーツの調達を目指している。
ETDAが主導で行っているのは、RCEPにおいて国内データ保護規制が問題となっているように、後発の国内事業者がデータ量で不利にならないように、データの越境移転の規制を巧く扱えるようにするための狙いがあると思われる。
国産の○○プラットフォームと聞けば、「日の丸検索エンジン」プロジェクトなど筆者としてはあまり良いイメージが湧かない。しかし、金額の桁は一桁小さい上、その多くは民間から集めるという点では大きく異なる。
タイ最大のeコマースプラットフォームであるTarad.comが楽天傘下でなければ、Tarad.comを支援する形になったと思われるが、現実としてそうではないので、Tarad.comとは協力関係のみにし、新たに作るという形になったのだろう。
しかし、タイ人にとっては既にTarad.comが重要なプラットフォームであり、「競合相手に協力を得ながら、コストをかけて競合するものを作る」というのは、あまり将来性を感じないが、どうだろうか。
参考文献
Bangkok Post, “ETDA building local e-commerce platform for B2C market”, 24 Apr 2019
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