以前、ベトナムには水産加工業の上場企業が多く、その中でもエビは重要だが、最近は輸出に苦労している実態を書いた。
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そんな中、エビ取引市場を活性化させるかもしれない新たな取引サイトが生まれている。
地方のエビ養殖業者がトレーディングフロアを運営(vietnam net)
- エビの養殖業者、加工業者、海外の輸入業者を直接マッチングするサイトが始動
- メコンデルタ地帯の地方都市カントー市(Can Tho)の業者が中心となって設立
- ウェブサイトの運営はCuu Long Investment and Technology JSCが行う
- 価格変動、市場分析、需供動向、エビの情報などを提供
- 昔ながらの複数の業者を通す取引慣行から抜け出すのが目的
- 品質が表示より悪かった場合は取引をキャンセルでき、悪い評価を受けることで質を担保
解説
農業や漁業など多くの中間業者が間に入ることにより、結果的に生産者の利益が少なくなるというのは、日本だけでなく、どこの国でも多かれ少なかれ存在する。日本では例えばイオンが肉や野菜など生鮮食品を直接生産者から仕入れるといった事など、双方にとってWin-Winの関係を築こうとする動きも少しずつ拡がっている。
とは言え、よほど大手でなければ取次業者を介さずに直接生産者から仕入れるというのは、交渉面など取引コストも問題となる。しかし、現代的にはオンラインで直接生産者と加工業者や輸入業者をマッチングさせるというのは安易だが効果的な発想だ。
今回起ち上げられたサイトはChợ Nông Sản Việt(CNSV:ベトナム養殖業者マーケット)という。
記事にもある通り、トレーディングフロア(立会場)を名乗るだけあって、単純にオンラインで仕入れができるだけでなく、マーケット情報や市場分析情報、エビについての関連情報など、取引に役立つ多くの情報やツールを使えるという。
伝統的な取引業態においては、購入業者がエビ養殖場を訪問し、質を確認してから取引というプロセスが取られる。それだけ取引コストが高いが、質は自分の目で見て明確に分かる。オンライン取引の場合、その部分に不安が残るわけだが、ヤフオクやウーバーなど使い古されたとも言って良い「評価システム」によって、質的な表示を偽る事を阻止する仕組みが取られる。
CNSVでは、将来的にはマネタイズの為に参加手数料を取る予定だが、最初はユーザーを多く集めるため、参加手数料を取らないという。
参考文献
vietnam net, “Local shrimp farmers to operate on trading floor”, 6 Apr 2019