チャンギ空港が新トランジットホールを開設:ハブ空港としてのコロナ対策

シンガポールのチャンギ空港を運営するチャンギ空港グループ(CAG)は、新しいトランジット専用のエリアを開設すると発表した。プレスリリースによれば、シンガポール航空(SIA)が乗継便の運航再開の承認を得たことを受けて、CAGがターミナル1とターミナル3にトランジット専用のホールを新設したという。

これは非トランジット客が使うエリアと隔離して設置されており、トランジット客と接触することが無いのが特徴である。更に、乗客の検温・マスク・ソーシャルディスタンシング、空港スタッフのマスク・フェイスシールド・手袋、各所の消毒など10項目に渡る感染症対策も施される。

2020年6月12日時点で、トランジットが許可されているのはオーストラリアの5都市とニュージーランドの2都市から、チャンギ空港を経由するSIAグループの各国へのフライトのみである。

搭乗客は最終目的地の入国要件を満たしている必要はあるが、オーストラリアとニュージーランドにいる外国人は、第三国である本国に行く便が停止していたとしても、SIAグループのフライト(シンガポール航空、シルクエアー、スクート)がチャンギ空港を通してあれば、行くことができる。

これは例えば以下のようなケースの人に役立つ。

オーストラリアにいるA国人がいたとして、オーストラリア―A国間のフライトが止まっており、帰国できない状況が続いているとする。

しかし、オーストラリア→チャンギ空港→A国のルートでシンガポール航空グループのフライトがあれば、チャンギ空港を利用したトランジット便で帰国することができるわけだ。

但し、これは現時点でオーストラリアかニュージーランドに立往生している人が帰るための「片道」限定であり新たに第三国からオーストラリアやニュージーランドに旅行するためのトランジット利用は許可されていない。無論、シンガポール航空グループ以外のフライトへの乗り継ぎもできない。

これは感染症対策を施した段階的なトランジット再開の方法の一つであるが、アフターコロナの「旅行バブル(travel bubble)」のように、段階的に観光するという発想と似ていると共に、アジアのハブ空港としてのチャンギ空港らしい戦略であると言えよう。

参考文献[1]:The Straits Times, “Face masks, face shields among 10 safety measures in place for Changi Airport’s new transit holding areas”, 11 Jun 2020

参考文献[2]:The Straits Times, “Changi Airport sets up new transit holding areas”, 12 Jun 2020

参考文献[3]:Newshub., “Singapore Airlines and Changi Airport introducing ‘one-way transit’ system for Australia, NZ travellers”, 11 Jun 2020

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