米国の嗜好用大麻合法化が10代の大麻利用率を押し下げる効果

JAMA Pediatrで最近掲載された研究によると、米国で嗜好用大麻を合法化している10州とワシントンDCにおいては、大麻を利用した学生が減少していることが分かった。

不摂生・性行為・薬物などについて10代の若者の行動を調査している政府によるユースリスク行動調査のデータ(1993~2017年)が用いられた。

調査結果では過去30日間に大麻を利用したと回答した学生は8%減少し、高校生に限定すれば9%減少している。2017年末にミシガン大学で行われた別の調査では、(合法化されていない州を含む)全国で前年比24%も大麻利用率が上昇しており、合法化した州での動向は非常に興味深い。

これに関して執筆者らは「大麻の流通元が、違法な売人から、年齢証明を必要とする調剤薬局に変わったことで10代が大麻を入手することが困難になったから」と説明している。

合法化されていれば闇での流通が減少するので、この考察は妥当なものに思える。但し、これは米国にように「大麻が蔓延してしまっている国」において有効なわけであり、日本のような国で合法化する論拠にはあたらない。

一方で、これは筆者の仮説だが、代わりに電子タバコなどの利用率を上昇させる効果が働いていないかとも思える。ただでさえ、米国のティーンエージャーの間ではVapingが流行しているのである。

参考文献: D. Mark Anderson et al., “Association of Marijuana Laws With Teen Marijuana UseNew Estimates From the Youth Risk Behavior Surveys”, JAMA Pediatr. Published online July 8, 2019. doi:10.1001/jamapediatrics.2019.1720

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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