大麻ビジネスの次は幻覚剤(サイケデリクス)ビジネスだそうです

2019年3月5日に米食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)のスプレー式点鼻剤SPRAVATO(一般名:エスケタミン)を経口抗うつ剤と併用することを承認した。その僅か数週間後、サイケデリクス心理療法バイオテクノロジー企業ATAI Life Sciencesが、ヨーロッパの投資家グループから4,300万ドルの資金調達をした。

幻覚剤または向精神薬と呼ばれるものは、元々は「乱用薬物」として規制されてきたが、最近の臨床研究によって、伝統的な治療方法と組み合わせることで、特定の精神疾患の治療に役立つ事が示され始めている。幻覚剤や向精神薬という名称はイメージが悪いので、医学的な利用に関してポジティブな意味をもたせるようにサイケデリクスと呼ばれることが多い。

エスケタミンは麻酔作用があるケタミンの光学異性体であり、自殺の危険性が高い治療抵抗性うつ病(TRD) の患者に対して即効性のある治療法を提供するものとして期待されている。勿論、流通に注意しなければ誤用や悪用の危険性があるので、医療専門家の監督下で処方された経口抗うつ剤と併用されることになる。

この分野での画期的な新薬認可は1987年のプロザック以来であり、J&Jの成長見通しを改善するとも期待されている。

一方でATAIは、いわゆるマジックマッシュルームに含有される活性化合物シロシビンや、J&Jが研究したものとは別種のケタミンであるアルケタミンなどについて、臨床試験に資金提供をしている。

Loncar Investmentsのバイオテクノロジー投資家Brad Loncar氏は、規制が重要なこの種のビジネスにおいて、FDAがお墨付きを与えた事は「最高の投資シグナル」だと評している。

昨年から大麻ビジネスが活況であるが、今から参入するのであれば、まだまだこれからの産業であるサイケデリクス心理療法ビジネスの方が潜在性は高く、かつ社会的にも好ましいかもしれない。

参考文献

Bloomberg「J&JのエスケタミンをFDA承認-重度うつ病に即効性の治療選択肢」2019年3月6日

CNBC, “FDA approves Johnson & Johnson’s ketamine-like nasal spray for depression”, 5 Mar 2019

CNBC, “Investors are starting to bet big on psychedelic medicine”, 27 Mar 2019

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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