ハイネケン・マレーシアがノンアルコールビールであるHeineken 0.0を市場に投入するが、それは専ら成人の非ムスリムを対象としていることを強調している。
ハイネケン曰く、新商品のノンアルコールビールは非ムスリムだけの為に製造されている(The Edge Markets)
- Heineken 0.0はハラーム(ノン・ハラール)ゾーンでのみ入手可能で、21歳以上の非ムスリムのみを対象としていると強調
- ハラームゾーンが無い店舗では成人の非ムスリム対象であることを明確に表示している
- ビールの味を楽しみたいがアルコール摂取量を抑えたい非ムスリム消費者がターゲット
- ムジャーヒド・ユソフ・ラワ宗務大臣がビール製造企業が非ムスリム消費者を惑わせないようにと指摘したことを受けての発言
補足
マレーシアの大きなスーパー(イオン・マレーシアなど)に行けば分かるが、ハラールでない製品(豚肉、酒類など)は別のコーナーで扱われていることが多い。ムスリムが誤ってハラーム製品を手に取らないことを回避するためであるが、「ムスリムの目に見える所に置く」「ハラール製品とハラーム製品と一緒に扱う」こともあまり良くないとされるからだ。
Heineken 0.0はハイネケンが国際的に展開するノンアルコールビールである。
参考:Heineken公式サイト「Heineken 0.0」
ノンアルコールビールと言えども、製造工程で共通する部分が多く、特に海外のノンアルコールビールの場合は、日本と異なって「通常のビールを製造してからアルコールを抜く」という工程を取るので、味は良いが「製造過程でアルコールを含む」点でハラールとならない。
日本と海外のノンアルコールビールの製造工程と味の違いについては以下が分かりやすい。
参考:livedoor NEWS「日本のノンアルコールビールはおいしくない?原因に酒税法などの規制」2017年12月11日
最終的にどれくらいのアルコールが残留しているかは不明だが、仮に全く含まれていなくても、製造工程でアルコールを扱っている時点で駄目なのは、インドネシアにおける味の素事件を見れば分かるだろう。
参考:takumi296’s diary「ハラールとハラーム-5・インドネシアでの味の素事件」
ハイネケン・マレーシアは、この点に関してかなり慎重に発言しており、非ムスリム向けでないことを強調している。
もし非ムスリムが消費可能なノンアルコールビールを作るとなると、日本での製造工程に近い発酵を伴わないものになるのだろう。その場合、なかなか美味しいものを作るのは難しいかもしれない。
イスラム教における天国では「いくら飲んでも酔わない美酒」というものが想定されているが、仮にこうしたものが現実世界で販売されることになれば、ムスリムはこれをどういう風に扱うかは非常に気になるところである。