乱立するハラール認証団体とイニシアティブを取りたいマレーシア

要約

  • マレーシアはハラール認証団体のハブを目指してIHABを先導している
  • イスラム教の宗派は細かいので現実的にはハラール認証基準の統合は難しい
  • マレーシアは厳しい認証基準を作り、他国の基準を承認する形を取っている

国際ハブの地位を目指してマレーシアはハラール認証システムを強化:ワン・アジサ副首相(Channel NewsAsia)

  • マレーシアイスラム開発局(JAKIM)がハラール認証システムを向上するためのイニシアティブを取っていると副首相が強調
  • 「ハラール国際研究機関の設立」と「国際ハラール機関委員会(IHAB)の非公開討議」が主要な成果
  • 2019年2月13日時点でJAKIMは45ヶ国の78もの認証機関を承認していると強調
  • JAKIMの外国のハラール認証プログラムは世界で最も厳しいと主張

解説

2019年4月3日~6日までマレーシアのクアラルンプールで開催されているマレーシア国際ハラール展示会(MIHAS)でワン・アジア副首相が述べた内容が上記記事だ。

MIHASにはマレーシアの他に、日本、フランス、中国、台湾、ベトナムなどから約1000社が出展し、ハラール製品の紹介や取引が行われている。2018年には72ヶ国から21,000人の来場者があり、2019年も25,000人の入場が見込まれている。

参考:the 16 MIHAS 2019

マレーシアの公的なハラール認証団体がマレーシアイスラム開発局(JAKIM)であり、他国の認証機関との提携や承認を行っている。昨年は、ハラール認証団体のハブとしての役割を目指し、2018年4月に国際ハラール機関委員会(IHAB) を設立し、JAKIMが委員長を務めている。

なぜこのような国際団体が必要かと言えば、世界中にハラール認証団体が乱立しているからだ。一般社団法人ハラル・ジャパン協会によると、日本だけでも実績が確認できる認証機関が9つもあり、それぞれ認証基準や対応可能な国が異なる。IHAB発足時の加盟機関が42ヶ国69団体というのから見ても、その乱立振りがよく分かるだろう。

認証機関が乱立する背景には、電子マネーのような「我こそがスタンダードになりたい」という状況もあるが、イスラム金融の例などを見ても分かるように、イスラム教はシーア派やスンニ派という大枠だけでなく、細かく見れば非常に多数の宗派に分かれる。

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IHABはその規模からも、各ハラール認証機関の国際団体として最も大きく、設立趣旨も「統一的なハラール認証基準を作る」ことが目的となっているが、現実的には難しい。そこでJAKIMは厳しいハラール認証基準を作り、それを満たす外国の認証機関を承認するという形で標準化を目指しているのだ。

参考文献

ハラールジャパン「マレーシアが国際的ハラール認証団体を設立へ」2018年4月10日

一般社団法人ハラル・ジャパン協会「主なハラル(ハラール)認証団体」

Channel NewsAsia, “Malaysia to enhance halal certification system in push towards global hub status: DPM Wan Azizah”, 4 Apr 2019

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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