要約
- ガンビアがAfcFTAを批准したことで、発効条件である22ヶ国が揃う
- 発効には非関税障壁や実施の枠組みなど交渉しなければならない内容が多い
- 幼稚産業の保護、ダンピング、インフラの不足などFTA以前の問題も多い
どれくらい早く大陸FTAを実現できるのか(The New Times)
- ガンビアがAfCFTAを批准した事で、協定発効に必要な22ヶ国が揃った
- 原産地規則、非関税障壁、実施の枠組み、譲許のスケジュールなど交渉が必要な問題は多い
- 2020年6月の発効に向けて交渉が1年ほどかかる可能性
- 2019年7月に、アフリカ連合(AU)サミットで批准の最低限度を満たした協定の運用フェーズに入る
解説
アフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA : The African Continental Free Trade Agreement)は2018年3月にルワンダでアフリカ連合(AU)の加盟国44ヶ国で合意された自由貿易協定である。
発効には最低半数の22ヶ国の批准が必要であり、先日2019年4月2日にガンビアが批准したことで22ヶ国の批准が揃った。
しかし、これで即発効というわけでなく、このうちまだ15ヶ国しかAfCFTA批准書をアフリカ連合に寄託していない上、記事に示されているような数々の内容についての交渉が必要である。
交渉が難航している背景には、多くの貧しい国で幼稚産業を保護する必要性が指摘されていたり、外国企業が絡むダンピング、インフラの未発達によりアフリカでの物流コストが先進国の2~3倍に達するなど、FTA以前の問題が多いからだ。
また大国のナイジェリアがなどがそもそも調印していないといった問題もある。これはナイジェリアの輸出の80%がメキシコ向けで、アフリカ諸国は10%未満に留まるというのもあるが、前述の物流コストでは、例えばナイジェリアのココア価格に物流コストを加えると、ちょうど今後のココア価格になるなど貿易の意味が無いといった問題もある。
元々アフリカでは国際商品協定(ICA)を通して自由貿易を推進しようとしてきたが、政治的な問題で利用されるようになり、ダンピングの問題を背景に「輸出価格を上げるためにICAを利用する国」が増加し、ICAが無効化してきたのがAfCFTAを推進している背景である。
AfCFTAは、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)や東アフリカ共同体(EAC)よりも強い結びつきを持つ自由貿易協定として注目されており、 22ヶ国の批准によって最後から2番目のフェーズまで完了したが、その最後のフェーズまでの距離が遠いと言えよう。
参考文献
The New Times, “How soon can the continental free trade agreement be implemented?”, 3 Apr 2019
Stears Business, “Why Africa needs the AfCFTA”, 4 Apr 2019
africanews., “AfCFTA agreement to be implemented after Gambia’s historic ratification”, 3 Apr 2019