ダナン港は歴史的に見て貿易拠点として優秀

要約

  • 台湾のワンハイラインズがダナンポート社の株式を20%取得
  • チャンパ王国がベトナムで栄えた理由の一つがホイアンの海上貿易拠点としての優位性
  • ホイアンが港として使えなくなって以後はダナン港に移行し、成長はこれから

台湾企業がダナンポートの株式を20%取得(vietnam net)

  • 台湾の海運会社ワンハイラインズがDa Nang Port JSC<HNX:CDN>
  • 1株当たり20,000VNDで1,983万株購入(総額で3,966億VND:1,700万ドル)
  • Da Nang Portは2016年にハノイ証券取引所(HNX)に上場
  • 売上高は695億VND(前年比15.6%増)、当期利益は148億VND(前年比12.6%増)

解説

ダナンポート(Da Nang Port JSC)は、1901年に創業した港湾経営・倉庫・運輸などの事業を行うベトナム中部の上場企業である。2016年3月に店頭株式市場UPCoMに上場し、同年11月にハノイ証券取引所HNXに移行している。

時価総額17兆VND(約7.3億ドル)であるが、営業利益率26.3%、当期利益率21.3%と利益率が高く、成長率も著しい。売上高営業キャッシュフローマージンが25.6%と収益性も高い。近年は成長に応じて積極的な投資を続けているが、当座比率263%など健全な経営を続けている。

割と最近、アジア株などに強い相澤証券で取扱いが始まるなど、日本からも取引しやすくなった。日本だと倉庫は民間に沢山存在するが、港湾は行政が管理している。(最近は一部の自治体で民営化の話も出ている) ダナンポートは港湾業務全体を取り扱うのが特徴である。

参考:Da Nang Port JSC(英語サイト)

なぜこの記事を取り上げたかと言うと、この企業そのものより、港湾都市としてのダナンの有望性を紹介したいからである。以前、ベトナムで最も成長する都市としてダナンを紹介したが、もっと広くASEANの都市として見ると、港湾都市としても有望なのである。

関連記事:ベトナムでこれから最も成長する都市ダナン

ベトナムの歴史をたどると、中部を中心にチャンパ王国という王朝が存在した。これはカンボジアに存在した扶南を介してインドの影響を受けた王朝である。

192年に後漢から独立して以後、唐に朝貢することで攻撃を回避して独立を守りつつ、アンコールワットで有名な強大なクメール王朝と(たまに支配されながらも)15世紀頃まで繁栄を続けた。中国からは時代によって林邑・環王・占城と呼ばれていた国である。

強大さが分かるエピソードが、いわゆる元寇との関係である。元は日本だけでなく、大越やチャンパ王国などにも「元寇」を行っていた。日本が2回の元寇を退けた後に、3回目の元寇の計画もあったが、当時元内の政情不安に加え、チャンパ王国との戦いにも苦戦した結果、中止されたという経緯もある。そういう意味では日本は間接的にチャンパ王国のアシストも受けており、筆者はチャンパ王国は好きな歴史の一つである。

15世紀頃から北部勢力に押され、1832年にグエン朝に併合されたが、繁栄していた期間の長さを見れば非常に長い。

強大で長期に渡って反映できた理由は中国から離れていたことや、朝貢などの政治の巧みさなどもあるが、中継貿易の拠点として栄えたことも非常に大きい。

当時、チャンパ王国で栄えていたのはダナンより30kmほど南のホイアンである。当時、江戸幕府が朱印船貿易の主な目的地としていたのがホイアンで、当時は日本人町も形成されていた。それだけホイアンは海上貿易の中継点として優秀だったわけである。元やクメール王朝に狙われたのも、貿易の拠点を奪うことが主たる目的であった。

ホイアンがグエン朝の手に渡った頃も、いわゆる南蛮貿易を行っていたのはホイアンであり、ダナンは単なる漁村に過ぎなかった。しかし、ホイアンとダナンを結ぶトゥボン川に砂が堆積し、ホイアン港が使えなくなってきたことを受け、貿易拠点がダナンに移っていった。(今でもダナンの観光地である五行山から途切れたトゥボン川を眺めることができる。)

こうした歴史がある以上、港としてのダナンはまだまだこれからだが、(ホイアンから北に30kmずれたからと言って)地理的優位性は変わらない。成長著しいダナンと、港湾としての有望性、そして南北横断高速鉄道計画など、ハノイやホーチミンとの国内での結びつきも、国際的な結びつきもどんどん強くなっていくだろう。

参考文献

vietnam net, ” Taiwanese firm buys 20 percent stake in Da Nang Port”

土方美雄(2001)「北のベトナム、南のチャンパ―ベトナム・遠い過去への旅」新評論

小倉貞男(1997)「物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム」中央公論社

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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