F1ドライバーのサラリーキャップ

各種報道によれば、前々から導入が予定されていたF1ドライバーの年間サラリーキャップが1チーム当たり3,000万ドルに決まりそうだ。

参考:grandprix.com, “F1 closing on $30m per team driver salary cap”, 8 Apr 2021

ドライバー2人で3,000万ドルなので、現在年間4,500万ドル貰っているルイス・ハミルトン(メルセデス)に即影響があるだけでなく、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)やシャルル・ルクレール(フェラーリ)にも影響が出る可能性があると見られている。

2021年からF1チーム予算の上限に1億4,500万ドルがかけられ、2023年までに更に上限を引き下げることが決まっており、それに加えてサラリーキャップが追加される形だ。

メルセデスのようなチームがマシン開発に多額の資金を投入できるのに対し、多くのチームは資金不足である。(だからチームの撤退や再編が多い。)多くのドライバーは、実力だけでシートを獲得できるわけではなく、スポンサーを連れて行ける(つまりチームに資金をもたらすことができる)ことも必須である。同じくらいの実力であれば当然資金がある方が重要である。

そんな状態なわけで、(今年のレッドブルは期待できるとは言え)昨年までのメルセデス一強の状態を脱却するという目的においても、チームの予算上限やサラリーキャップというのは当然の流れと言えるものだ。

実際、現行の状況ではマシンの性能差があまりに顕著である。昨年、ルイス・ハミルトンが新型コロナウイルス感染でサクヒールGPで欠場し、代わりにウィリアムズのジョージ・ラッセルが代理で走行した。この時、決勝ではトラブルで最終的に9位に留まったが、予選で2位を記録するなど、その傾向が顕著だった。

どうしてもF1は狭き門であるため、サラリーキャップができたところで、多くのドライバーにとって「お金を持ち込んででもF1で走りたい」という世界であるのは変わらず、魅力が大きく損なわれる事は無いはずである。

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