カリフォルニア州で審議されていた議会法案138(いわゆるソーダ税法案)は、発議した議員が来年まで審議を棚上げすると決めた。
このソーダ税法案は、砂糖入り飲料1オンス当たり2セントの州税を課すというもので、糖尿病など米国で問題となっている健康問題に対する費用捻出のため、そして税金によりこうした飲料の消費を抑えることで医療費を抑制するためのものである。
カリフォルニア州では既に2015年にバークレー市では1オンス当たり1セントのソーダ税が導入されており、低所得者層の清涼飲料水消費量が21%減少したことが確認されている。カリフォルニア州全体の導入によっても15~35%消費量が減ると試算されていた。
清涼飲料水の消費量が減るということはそれに反対するのは、それを売る側であり、コカコーラやペプシコは大規模なロビー活動を行っており、過去2年間で飲料業界によるソーダ税反対のロビー活動費が1,200万ドルにのぼると推定されている。
市場として大きなカリフォルニア州では法案の成否が非常に影響が大きかっただけに、今回の法案棚上げは現地では「大手炭酸飲料企業の勝利」として報じられている。
とは言え、棚上げになったのはいずれ対策をせざるを得ない事に変わりがないからである。いわゆる健康的な食生活を行うには知識とお金がかかり、低所得者層ほどジャンクフードなど不健康な食事をする傾向(或いは金銭的にせざるを得ない状況)がある。
しかし、当然ながら低所得者層ほど将来的な医療費に対する対策(保険や貯蓄など)もできていない傾向があり、将来的な医療費も問題だが、実際に病気になった時に医療費を支払えないといった問題が深刻である。
今回のカリフォルニア州全土での法案通過はできなかったが、市レベルなど少しずつソーダ税の波は拡がっていくものと思われる。
参考文献
CNBC, “California soda tax bill shelved, in reprieve for beverage industry”, 22 Apr 2019
Forbes「米バークレーの「ソーダ税」に予想以上の効果、課税の力が立証される」2016年9月1日