年々成長しており2018年時点で720億ドルにも達する米国のペット産業市場において、人間だけでなくペットにも健康志向が拡がりを見せている。
アメリカでは中国産の犬用ジャーキーによる大量の犬の死亡(2013年)やサルモネラ菌汚染のドッグフード(2018年)など度々悪質なドッグフードによる問題が発生し、FDAも警告している。
そうでなくても肉副産物や畜産副産物といった原材料の中には粗悪なもの(場合によっては屍や羽糞尿など)が含まれているケースがあるとも指摘され、原料を気にする飼い主も多い。
或いは人間には認可されていないような化学薬品を使用しているケースもあると言われ、こうした状況がペットの健康志向拡大の背景である。
2017年に設立されたWild Oneは、安全な材質を使って犬の首に負担をかけないハーネスや、安全性が高いペット用の皿などを販売するベンチャー企業だが、この度、犬用の健康志向のおやつ販売した。
チキンテンダー、さつまいもチップス、フィッシュパフの3種類だが、これまた高い。例えばチキンテンダーは113グラムで22ドルで人間もびっくりのおやつである。
その製造は徹底しており、放し飼いで育て(ケージフリー)、抗生物質を使わない飼料を与えた鶏を手切りで加工したものだ。放し飼いにコストがかかるのは当然で、更に製造工程で化学物質や充填剤なども利用していない。
ここまで徹底するのはやりすぎと思う人もいるかもしれないが、高付加価値化はどの分野でも高収益化の方法の一つである。人間用のものは健康食品などもありふれているが、ペット産業などまだあまり手がつけられていない分野があるという意味では示唆に富む。