UAEアブダビの改正不動産投資法が市場を活性化させる可能性

アラブ首長国連邦(UAE)において、石油が殆ど出ないドバイでは金融や不動産など非石油経済の成長が早くから進んできたが、原油資源が豊富なアブダビでは非石油経済の推進が遅れていた。

それでも不動産投資を活性化させるなど様々な取り組みがなされていたが、昨年頃から住宅価格の下落などネガティブな情報が出ていた。Aldar PropertiesのCEOであるTalal Al Dhiyebi氏によると、今回の外国不動産投資法の改正は市場を大きく変化させるものだという。

アブダビの改正不動産投資法はディベロッパー曰く「ゲームの変化」である(CNBC)

  • Aldar Propertiesは、アブダビ最大の上場不動産開発業者で、2019年に約1,500戸の住宅を引き渡す予定
  • 改正法では、外国人投資家が購入した不動産に所有権が認められる
  • 改正前はUAEおよび湾岸協力会議の国民にしか所有権が認められず、外国人は99年のリースしか認められなかった
  • Dhiyebi氏によると、改正法が外国人投資家のアブダビでの不動産需要をひきつけ、雇用を創出し、流動性を高めると予想

補足

2019年第1四半期もアブダビの不動産市場のパフォーマンスは軟調で、平均賃料も販売価格も下落しているという。

アブダビ首長国は、ビザの緩和など少しずつドバイ首長国の制度に近づけることで、少しずつ非石油経済の成長を進めてきた。

確かに、外国人がアブダビの不動産を保有できるようになったことは市場にとってプラスである。しかし、既に過熱感が見られるドバイなどでも、安価な物件が好まれるようになるなど、警戒すべき状況が見えてくる中、この改正法がどこまで市場を下支えするかは筆者には疑問である。

勿論、長期的には規制緩和のメリットはあるだろうが、中短期的には地理的に離れているとは言えドバイの影響を大きく受けると思われる。

参考文献

CNBC, “Abu Dhabi’s real estate investment law reforms are ‘gaming changing,’ developer says”, 22 Apr 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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