インドでは、外国人は土地が個人では買えない(事業法人の設立が必要)など不動産投資規制は比較的厳しい。しかし、その豊富な人口と経済成長期待からマンションなど外国企業による不動産投資は年々増えており、これからも増えていくだろう。
Bankbazaar.inのCEOであるAdhil Shetty氏がインドで住宅購入をする際のヒントを提示している。高層階と低層階におけるセキュリティとプライバシーのトレードオフなど、日本においても同様に言えることもあるが、それ以外にもまた違ったことに注意しなければならないことが分かる。
暑さと虫のトレードオフ
セキュリティやプライバシーの観点で言えば高層階が良く、インドにおいても基本的には高層階の方が値段が高い。しかし、高層階は暑いというのは問題だ。日本のマンションでも高層階(特に最上階)が暑いというのは同じだが、インドの場合は暑さが半端ないので、日本以上に気をつける必要がある。
では低層階の方が良いのかといえばそうでもない。低層階となれば病気を媒介するような蚊やネズミといった脅威があり、また場所によっては非常に混雑しており、渋滞などによる騒音なども問題となる。
違法建築問題
Shetty氏は10項目に分けてヒントを整理しているが、そのうち2つは違法建築に関わるものである。
- 火災安全に対しての居住証明書(OC)が消防局から付与されているかの確認
- 床がずれていないか
の2つが指摘されている。特に後者は高層階ほど起きやすく、違法建築がされていないかを慎重に確認する必要があるとしている。
インフラ
インドの過密性や治安、インフラの普及状況から、以下のようなことにも注意しなければならない。
- 2つ以上のエレベーターがあるか
- モバイルネットワークの電波が届くか
- 廊下スペースが広く、監視カメラが設置されているか
これらはなくとも違法ではないが、インドにおいては非常に重要である。まず、エレベーターが1つしか無いケースがあり、エレベーターの故障も多いので、2つ以上無いと故障により非常に不便になる確率が高くなる。
また、不動産開発はどんどん進んでいるが、モバイルネットワークが届いているかはまた別である。特に高層階は構造上不安定になりやすいので、確認が必要ということである。また、高層階ではブロードバンド回線を提供していないケースも多いようだ。
最後の理由は治安の問題である。共有部分である廊下スペースが狭いと逃げる場所が少ないので広い方が望ましく、そして監視カメラがあるのが望ましい。
投資用不動産の地域差
また、投資用不動産としては低層階の方が良いと指摘されている。ムンバイやベンガルールなどでは高層階が好まれるが、デリーなどでは低層階の方が投資用として人気があるという。これは上記のように暑さが問題ということである。
暑さが問題となって、高層階だけでなく低層階も高いケースがあるというのは東南アジアも同じである。これは以前に書いた記事でも整理しており、こちらも参照すると良いだろう。
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