成長しない会社買います、オリックスが事業承継支援に本格参入(2019.4.5 Bloombergより)という記事が出たが、これによるとオリックスは「投資回収のリターンは低いが、地域にオリックスファンを増やすため」に事業承継ビジネスに参入するということであった。
この記事を見る限り、オリックスの今回の事業は社会貢献度が強いように思われる。
しかし、本当にそうなのであろうか?
というのも、私自身は事業承継ビジネスは上手くいけば、ローリスク・ハイリターンの事業であり、大変効率の良い事業になる可能性を秘めていると考えているからである。
そのように考える理由として、「後継者がいない為廃業するものの、無借金であり一定のキャッシュを稼げるビジネスモデルを確立している企業」は潜在的に多いと考えられるためだ。
東京商工リサーチによると2013年から2018年までの年間の休廃業・解散企業は年々増加傾向にあり、2013年の34,800件に対して2018年は46,724件となっており、1万件を超えるペースである。
また、そのうち60歳代以上の廃業が全体の8割を占めることから、経営者の高齢化および後継者がいないことが廃業要因が大きい割合を占めると考えられる。
そして確率的にその中に「無借金であり一定のキャッシュを稼げるビジネスモデルを確立している企業 」は一定数存在しているとも推測される。
実際に筆者の周りにも高齢化および後継者がいないことから廃業した例はいくつか聞くが、いずれの事業も一定のキャッシュを稼げるビジネスモデルを確立しているケースであった。
つまり、後継者さえいれば継続でき、今後も十分なキャッシュを生み出すことが期待されるのだ。
オリックスの事業承継ビジネスへの参入はそういった超優良事業を掘り当てることが本当の狙いなのではないかと筆者は考えている。
一から起業するよりも圧倒的に参入障壁は低く、ローリスク・ハイリターンである。
このような世の中になったからこそ成立するビジネスであり、また今後新たに参入する企業が増えてくる分野になるのではないだろうか。
参考文献
成長しない会社買います、オリックスが事業承継支援に本格参入~2019.4.5 Bloomberg~