OECD(経済協力開発機構)がBetter Life Indexの2019年版を公開した。住宅や所得、教育や安全、健康など11の要素についてOECD40ヶ国についてのランキングと性差についての情報が指標化されている。
ここでは、働き方改革とかリモートワークといった最近の流行りに乗じて、ワークライフバランスの項目について見る。
上位5ヶ国は、
- オランダ
- イタリア
- デンマーク
- スペイン
- フランス
である。日本は予想通り低く、40ヶ国中36位である。他の国もいくつか挙げれば、米国が29位、韓国が37位、メキシコが39位、40位はコロンビアである。
ワークライフバランスの評価項目は、
- 1年以上を通じて週平均労働時間が50時間を超える人の割合
- 1日に娯楽やパーソナルケアに費やせる時間
である。
「1年以上を通じて週平均労働時間が50時間を超える」 となると、休日の日数にもよるが、1日当たりの残業時間が1.6~2時間を超えてくる人である。大した事が無いと思った人は日本の労働慣行に毒されているだけである。
日本について見てみると、これに該当する人は17.9%おり、全体のうち35位(つまり6番目に多い)である。1位はロシアの0.1%とお国柄が出ているが、全体1位でこの指標は3位のオランダは0.4%と、上位は週労働時間が長い人が少ない。
ちなみに下位4ヶ国は突出している。
- 37位:韓国(25.2%)
- 38位:コロンビア(26.6%)
- 39位:メキシコ(28.7%)
- 40位:トルコ(32.6%)
男女の不平等度(Gender Inequality)は2.0で、女性より男性の方が労働時間が長い人が2倍いるということを意味し、男女差は10位と低い。(順位が高いほど男女平等である。)
但し、男女差が少ないことが良いことを意味するとは言っていない。上記の4ヶ国の不平等度を見ると、
- 1位:トルコ(1.6)
- 5位:コロンビア(1.7)
- 6位:韓国(1.9)
- 8位:メキシコ(2.0)
である。逆にオランダは8.3で40位である。この数値に関する男女の平等は、「男女を問わず労働時間が長い」傾向を示している。
もう一つの指標が「1日に娯楽やパーソナルケアに費やせる時間」である。これは食事や睡眠の長さを含む。
日本は14.1時間で全体35位である。上位3ヶ国を見ると、
- 1位:イタリア(16.5時間)
- 2位:フランス(16.4時間)
- 3位:オランダ(16.1時間)
と16時間を超える。毎日2時間の差があるというのは想像以上に大きいと思える。日本の場合、睡眠時間も短いので、食事や睡眠を除いた余暇時間はあまり変わらないかもしれないが、逆に言えば睡眠時間にシワ寄せが行っているとも言える。
突出して少ないのがメキシコ(12.4時間)とコロンビア(12.0時間)である。
これに関しての男女の不平等度は、40ヶ国中34ヶ国が小数点第2位に丸めれば1.00となり、日本も1.00である。順位としては17位である。残りの6ヶ国(トルコ、スロベニア、ラトビア、韓国、イタリア、エストニア)でも1.1であり、余暇とパーソナルケアに充てられる時間は男女差が殆ど無いというのが興味深い。
参考文献:OECD Better Life Index, “Work-Life Balance”