Eコマース戦略を成長の柱とするアパレル企業が増加している理由

ZOZO離れで、ユナイテッドアローズのように自社Eコマース(以下EC)を立ち上げる企業も出てきたように、ECを経営戦略として挙げる企業が多く見受けられる。

背景には、増加する「販売管理費」を抑えようとする各社の戦略が見えてきた。

ここでは筆者の選んだ4社の財務および経営戦略を見ていくことで、原因を分析していく

アパレル各社の損益計算書の検証
出典:各社の決算資料より筆者作成

先日のZOZO前澤社長のツイートで以下のようなものがあった。

いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000〜3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?

前澤氏のツイッターより引用

確かに、1品毎に見てみるとそういうものもあると思われる。しかしながら実際は、売上総利益率が高くても50%前後となっていることが分かる。決してぼろ儲けであるわけではないのである。

そして、営業利益率で見るとユニクロ以外は10%を割り込む結果になっている。要因となっているのは販売管理費であり、それによって各社の利益率は大きく異なってきている。ライトオン・ユナイテッドアローズは売上に対する販管費が40%台である一方、ユニクロは30%台、しまむらに至っては20%台に抑えている。ここで重要なのが販管費の中で、店舗の賃貸料や人件費が占めている割合である。ユニクロ・しまむらはそれらを抑えているが、両社に共通するのは「徹底的な本社による管理体制を構築している点」にある。

特に4社のうち賃貸料と人件費を低く抑えているのはしまむらであるが、戦略の一部を紹介すると以下が挙げられる。

  1. 郊外での出店が中心であること。
  2. 標準化と単純化で「少人数による店舗運営」であること。

※しまむらは安売りによる薄利を販管費で抑えているのである。

上記ではアパレル各社がいかに販管費を抑えるかが利益率に大きく影響するポイントであるという話をしたが、急に「徹底的な本社による管理体制の構築」は困難である。そこで出てきたのが救世主であるECというわけである。

ECで考えられるメリットは次の通り。

  1. システム維持費はかかるものの、店舗の賃貸料を抑えられる。
  2. 人件費を抑える効果がある。
  3. 在庫の本社による一括管理を容易にする。

以上により、販管費削減効果は大きいものと考えられる。

ライトオンやユナイテッドアローズはECへ注力し始めているが、背景としてはこのような効果を狙っているものと推測される。ECが各社の成長を支える救世主となるか、今後に期待である。

       

この記事の著者 YOUKI について

SlofiAでは金融・財務分析関係を専門に執筆。元銀行出身。現在は上場企業の経理を担当。

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