ZOZOが打ち出した値引き戦略「ZOZOARIGATO」に反発し、離脱する店舗が増えている。ここでは各社の経営戦略を見ていくことで、根本的な原因を分析していきたいと思う。
ライトオンのケース
- 2018年8月度決算では、値下げにこだわらず初期設定価格での販売が順調に推移し営業利益率改善している。
- ショッピングモール内店舗は好調であるが、一方でロードサイド店舗等は苦戦している。
- 中期経営計画では高粗利・EC販売への注力を目指す方針である。
オンワードホールディングスのケース
- 売上総利益率は上昇傾向にある。
- 基幹ブランドの商品価値向上や顧客サービスの拡充により安定的な収益の拡大している。
- ECは増収に寄与しており事業を強化する方針である。
ユナイテッドアローズのケース
- 売上総利益率に対して決算説明でも明確な説明があるように特に意識した経営をしている様子であり、上記2社と比較しても売上総利益率は50%台と高い。
- 中期ビジョン戦略を「実店舗の強みを生かしたECの拡大」としている。
②については決算説明資料において以下の目標を挙げている(以下抜粋)
「今後の売上拡大に対してコスト比率が下がり、中長期的に収益性の向上が望める構造」
現体制:
・売上金額に対して一定比率の手数料をお支払いする仕組み
・売上増加に比例してコストも増加
新体制:
・システム使用料など一部の費用を固定費化
・自社物流センターの活用、カスタマーサポートの取り込みによる低コスト運用
2019年3月期第3四半期決算説明会の資料より
◆総括
- 各社とも共通しているのはEC事業の拡大を戦略のひとつと掲げている。
- また3社にともにEC事業での高収益体制づくりを目指している。
以上より3社の戦略が、ZOZOの「ZOZOARIGATO」とは方向性がそもそも一致していないということが分かる。特にユナイテッドアローズは重点取組施策に掲げているようにECでの売上拡大に対してコスト比率を下げ、中長期的に収益を向上させる仕組みを目指しており、出店手数料が売り上げに対してかかるZOZOと戦略が一致していない。
以上のことからも、アパレル業界で同様の経営戦略方針である企業は多いと考えられ、今後もZOZOを離脱する企業は多いと考えられる。