トランプ大統領は日本人がアメリカ車を買わないことを度々批判する。それは関税が問題ではなく(米国から輸入される自動車に関税は掛かっていない)、単純にニーズに合わないからに過ぎないが、トランプ大統領のような認識が米国では一般的なのかと思えば、そうでもなく適切な見方ができている記事があった。
なぜ日本人は米国の自動車を買わないのか(CNBC)
- 日本で販売される自動車の4割は軽自動車で、狭い路地や駐車場での移動が容易であることを好む
- アメリカの自動車会社は北米の消費者向けに製造したものをそのまま他国でも売ることを望んでおり、 日本人の好みに合った自動車を製造していない
- ディーラーにも投資せず、日本の消費者は米国の自動車が信頼できず非効率というイメージを払拭できない
- 日本が輸入する自動車の大半はヨーロッパの高級車かスポーツカーである
- 日本向けに何らかの差別化せずに日本で競争することは難しいが、実態として差別化の努力すらしていない
- 日本でそのまま売れるとすればジープ・ラングラーである
補足
道路事情が全く異なるので米国の自動車をそのまま日本で売ることは難しいが、米国の自動車会社は(世界第三位の自動車市場があるとは言え)日本向けに差別化をする気は毛頭ない、という非常に妥当な分析がされている。
とは言え、全く外車が売れないわけではなく、メルセデス・ベンツやBMWなどヨーロッパの高級車などは大ヒットというほどではないが、それなりに売れている。一方で米国の自動車会社は、フォードは2017年に日本から撤退しているし、GMは2018年に僅か700台しか日本で販売していない。
米国ブランドの自動車をそのまま日本で売れる可能性があるとすれば、それは日本でもブランド知名度が高いジープのうち、米国的なアウトドアライフスタイルを象徴するようなラングラーしかない、と記事では指摘される。
ジープ・ラングラーしか無いのかは筆者には分からないが、確かにクロスカントリー車にターゲットを絞るというのは可能性はあるかもしれない。それも「日本向けには意地でもカスタマイズしない」という縛りをつけた場合の話ではあるが。
参考文献
CNBC, “Why the Japanese don’t buy American cars”, 24 Apr 2019