大麻による緑化という発想

環境に良いビジネスについてのメディアGreen Entrepreneurに、大麻栽培が環境に優しいという論考が載せられていた。以前にも同じライターの記事を紹介したが、前回は麻の多用途性に着目した関心できる記事であったのに対し、今回はやや強引な気もするが、イメージが良くない大麻をプラスイメージに変えようとする発想としては非常に面白い。

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議論の背景として、大豆価格の下落や燃料価格の上昇など中小の農家の採算性が下がっており、この問題の解決策が産業用大麻を育てることだと主張される。但し、簡単には納得できないので、これを正当化する3つの言い分が紹介されている。

(1)育てやすい

大麻は砂漠を除いて殆どの気候で成長が可能である。また、一般的な害虫に対して抵抗性・抗菌性を持っており、病気にも強いことが挙げられ、生産量が安定しやすいのが強みである。

(2)環境に優しい

1エーカーの麻を育てるのに4ヶ月しかかからないのに関わらず、4エーカーの広さの木と同じくらいの紙を生産できるのが特徴だ。

また、多くの植物と比べて必要な水の量が2/3程度で済み、更に炭素吸収量は他の植物に比べて圧倒的に多く、環境に優しい。

更に、麻は土壌中の鉛やカドミウム、ニッケルなどを吸収する能力が高く、汚れた土壌を回復させる効果もあるというのだ。

(3)採算性が高い

ビジネスとしては何よりも儲かることが大事であり、環境に良いだけでなく、大麻ビジネスがバブルである以上、しばらくは高い利益を得ることができる可能性が高い。ビジネスの幅の広さは前回の記事で説明した通りである。

補足

育てやすく、環境に良いだけでなく、現時点で採算性が高いのは勿論のこと、汚れた土壌を回復させる効果があるのは確かに有用であろう。というのも、栽培が簡単ということは参入が簡単で、いずれバブルが弾けたとしても、土を休める効果があるわけで、再び別の作物に戻す場合も良いからだ。

参考文献

Green Entrepreneur, “An Argument for Farming Hemp”, 17 Apr 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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