F1を面白くするにはどうすれば良いか

先日のF1トスカーナグランプリでは、リスタート時の多重クラッシュなどレースの一時中断やセーフティカーの導入などが多いレースだった。ルイス・ハミルトンはセーフティカーの問題を指摘しているが、筆者としては今回の件はどちらかといえばコースの問題だと考えている。

それはさて置き、ハミルトンらメルセデス一強で面白くないという声も多い。筆者はF1は好きだが、いつの頃からかハミルトン以外の誰が表彰台に登るかといった視点で観るようになってきており、面白さの質が変わってきているように思える。(すなわち万人受けの面白さでは無い。)

技術開発競争とその宣伝の一環であることを考えると、インディカーのようにマシンを均質化する方向ではなく、ピットインやタイヤなどチーム全体の戦略で順位が入れ替わるのが望ましい。

セーフティカーもコースの安全やタイヤの冷却化防止などの理由以外に、開いてしまった差を埋める効果があり、逆転の余地を作るという意味合いもある。しかし、トスカーナグランプリのようにイエローフラッグやレッドフラグが多発すると流れが悪くなるし、そもそもセーフティカーによってピットイン戦略の面白みが半減する。

やはり一部ドライバーも提案しているようにレース中の給油を復活させるべきである。レース中の給油は2010年以降に禁止されているが、その背景に「給油中の事故」や「燃料装置の輸送コストの高さ」などがある。

給油中の事故については、今の技術であれば以前よりも質の高い安全装置を設置することが可能だろう。問題は燃料装置である。コストについてはF1市場全体が盛り上がるようになれば回収できると思われるが、問題は環境面への影響である。

F1は環境に対して何かと批判されがちであるが、F1興行全体でテスト走行やレースに係る炭素排出量は全体の0.7%に過ぎない。最も多いのは全体の45%を占めるロジスティクス(道路、航空、海上輸送)であり、ここを如何に減らすかが問題となっている。

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しかし、なんとしてもレース中の給油を復活させてほしい。ただでさえ車体が重くなっている現在のF1において、給油無しだと燃料を多く積む必要があり、更に重くなる。給油を復活させた方が少なめに積んでスピードを出したり、多めに積んでピットイン回数を減らしたりといった戦略性が増す。

レース中の給油が復活したからと言ってメルセデス一強の状態が変わるとは限らないが、今より面白くなることは間違いない。

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