タイの新空港計画に65%の人が賛成する背景

バンコクにあるドンムアン国際空港とスワンナプーム国際空港の両方が混雑しており、拡張にも限界があるので、バンコクから50-60kmほど西に位置するナコーンパトム県に新空港を建設する計画が提案されている。

中途半端な規模の空港を近隣に立てることの計画性には疑問があるが、最近もLCCにドンムアンで大型航空機を利用するようにタイ空港株式会社(AoT)が要請するなど、混雑が問題になっているのは確かである。

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しかし、現時点で国民からは多くの賛成が得られているようである。

国立開発局(NIDA)の世論調査センターNIDA Pollが2019年9月12-13日に全国世論調査を行った。15歳以上の1,273人から各回答者の属性とともにナコンパートム空港の建設について賛否を問うたものである。

下図を見て分かる通り、賛成が65.3%と多数を占めており、反対は18.5%にとどまる。

賛成の代表的な理由としては、「近隣の県の人にとって利便性が高まる」「地方の観光が促進される」「収入の分配」など、空港ができる地域に対するメリットを挙げる人が多かった。

反対の代表的な理由としては「既存の空港で十分に乗客を対応できる」「既存の空港を改善する方が良い」といった意見が多い。

一方で、空港の状況がよく分かっていない人も多いと思われる。「飛行機を利用したことがありますか?」という質問に対しては、「利用したことがある」という人は37.5%にとどまり、「利用したことがない」という人が62.5%という結果となった。

また、賛成の理由が「地域の活性化」に偏っているように思われるのは、飛行機を利用したことが無い人が多いことからも推察されるが、所得が低い人がまだまだ多いことに起因すると考えられる。

以下は、回答者の平均月収(バーツ)である。15歳以上なので学生など若年層が一定割合含まれる(25歳以下の回答者が8.3%)ことを差し引いても、平均月収が30001バーツ(982ドル)以上の人が11.5%に過ぎないということは飛行機を利用した仕事や旅行の機会が著しく少なくなる要因だろう。

飲食店など間接的に観光産業に関係する人は非常に多く、空港が増えることは地域活性化になるとともに、所得の再分配効果が見込めるという観点で期待されているのである。

具体的に誰が恩恵を受けると思うかについての回答(複数回答)が以下の棒グラフである。やはり航空ビジネス関係者、ナコンパートム県の人、西部地域の人など直接的に恩恵を受けると考えられる当事者の回答割合が高い。一方で「タイ人」とタイ全体に恩恵があるとする人も3割を超えているのは特徴的である。

主な調査項目は以上である。他の細かい属性データ(年齢や在住地域など)については元の調査結果(下記参考文献[1])にあたってほしい。タイ語であるが、PDFやWordデータとして詳細が提供されているので、翻訳ソフトなどを使えば分かる範囲であろう。

参考文献[1]:NIDA Poll, “NAKHON PATHOM AIRPORT”

参考文献[2]:Bangkok Post, “Don Mueang airport urgently needs wide-body planes”, 15 Sep 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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