ペトロナスが上場方針を転換する背景

世間的にサウジアラムコの大型上場が話題になる中、マレーシアの国営石油会社ペトロナスもマハティール政権になってから上場による資金調達を目標としていたが、方針を転換する可能性が出てきた。

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マレーシアはペトロナスの株式を2州に売却する可能性(The Straits Times)

  • マハティール首相はロイター通信に対して、同社の油田・ガス田がある13州のうちサラワク州とサバ州への売却を検討していると語った
  • 生産コストやロイヤリティ、税などを考慮すれば生産州での利益率はわずか3.7%
  • 2018年の選挙マニフェストで生産州へ支払うロイヤリティ率を前政権の5%から20%に引き上げることを公約
  • 同社CEOは20%は難しいと言明
  • 9日には子会社3社(ペトロナス・ダガンダン、ペトロナスガス、MISC)の一部株式を機関投資家に相対取引で売却

補足

そもそもマレーシア政府が上場を目指していたのは、財政問題解決の一貫としての資金調達が目的である。

サラワク州はマレーシアの天然ガス生産量の2/3、石油生産量の1/3近くを占めるなど重要な場所であるにも関わらず、コスト体質の問題であまり利益が出ていないという問題があった。その解決策として、サラワク州やサバ州はロイヤリティ率の引き上げを長年求めており、現政権も公約としていたが、現実的には難しいということが明らかになってきた。

そうした両者の妥協策として、政府の資金調達と州の利益を増やすために出てきたのが、生産量が多い州への株式売却案である。

また、先日の子会社の一部株式のブロック取引による売却など、相対取引での資金調達を進めている。こうした状況から見れば、ペトロナスの上場コストなどもネックとなっていると思われる。

参考文献

[1]The Straits Times, “Malaysia may sell Petronas stakes to two states”, 12 Dec 2019

[2]Reuters, “Malaysian state open to buying Petronas stake after Mahathir comment”, 11 Dec 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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