MLBと新型コロナウイルス

今年のMLBは新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、60試合のみのシーズンで始まっている。しかし、マイアミ・マーリンズにおいて選手・コーチに計18人(2020年7月30日現在)の感染が見つかったことで試合が延期されている。MLB側はコミッショナーからシーズン中止の可能性が言及されるなど事態が深刻になってきた。

MLBが中止になると、CNBCで指摘されるように、ペン・ナショナル・ゲーミング<NASDAQ: PENN>やドラフト・キングス<NASDAQ: DKNG>などスポーツ賭博を扱う企業の業績に大きな影響を与える。これらの企業は長期的には強気の見方をしているが、短期的にはMLBの動向でボラティリティが高まると考えられている。

CNBC, “What MLB’s Marlins outbreak could mean for the stock market and economy”, 30 Jul 2020

但し筆者はシーズンの中止という事態は可能な限り避けられる方向に進むと考えられている。既に「7イニングのダブルヘッダー案」が決まるなど、ルールを大きく変えてでもシーズンを進める方向に話が進んでおり、選手会側も肯定的のようだ。

選手側は、今年はたとえシーズンが0試合であったとしてもFAに関係する登録日数が1年としてカウントされると合意されているので、年俸が減る以外においては形態が変わることに容認のスタンスである。

とにかくMLB機構や球団が大きく懸念視しているのは、放映権の問題である。MLBは観客動員数が減っているが、収益自体は放映権で増えている。徹底的にコストを減らしてMLBの分配金で黒字化しようとする球団が存在するくらいだ。

どうせ今は無観客試合である。放映権だけが頼みの綱である。特にポストシーズンの放映権は重要であり、中止に至れば球団経営だけでなく、テレビや広告業界にも影響を与える。

「7イニングダブルヘッダー」自体がポストシーズンの重要性が伺える。なぜなら、日程を圧縮すればするほどサブスクリプションでの配信などでの収入に悪影響を与えるからだ。サブスクリプションであれば、長い期間をかけて日程を消化する方が契約期間の維持率は高くなる。(実際、シーズン中だけ契約して、シーズンが終わると解約するというのを繰り返す人は少なくない。)

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