新型コロナウイルス感染の症状と嗅覚や味覚の関係はすっかりと定着した。感染→発症→相談→PCR検査という流れを考えれば、「コロナと嗅覚」についての検索トレンドは新型コロナウイルスの感染の度合いを予測するものとして使えないか。
緊急事態宣言の頃と現在では検査数が全く異なるので、検査数だけを見ても比較にはならない。陽性率などを見るべきだとよく言われる。(PCR検査の精度が上がっているので検出率が高くなっているが、それにも問題はあるようだが。)
そこで最も注目されている東京都の「陽性率」とGoogleトレンド「コロナ 嗅覚」「コロナ 味覚」の検索トレンド(日本)を比較したものが以下のグラフだ。(本当は東京都の検索トレンドを利用した方が良いかもしれないが検索数が十分ではなく、日本全体の方が当てはまりが良いことが分かった。)
3月下旬に新型コロナウイルスと嗅覚・味覚の関係が話題になった時に大きく検索数が伸び、その後、4月上旬に再び検索数が大きく伸びて以降、検索数が低下していき、最近は再び伸びている。陽性率のピークはその後に来ており、なんとなく検索が先行しているように見える。
また、「コロナ 味覚」の方が検索数が多いが、当てはまりは嗅覚の方が良さそうに見える。これは「感染→嗅覚がなくなる→匂いが分からないので味もわからなくなる」というロジックで考えれば、嗅覚の方がより「感染」に対する傾向に大して敏感なのではないかと思える。
新型コロナウイルスの発症までの中央値が5日、それから相談して検査という流れを考え、「コロナ 嗅覚」の検索トレンドを7日間後ろにずらしたものが下のグラフだ。但し、3月26~28日の検索数は前述の通り「バズワード」として多いので削除(グラフ中では4月2~4日)し、また、検索トレンドに波があるので7日間移動平均で表示している。
すると、ゴールデンウィーク中とその後に陽性率が大幅に下がった部分を除けば、概ね東京都の陽性率を予測できることになる。このトレンドのままいけば、8月6日は陽性率8~8.3%程度になると予想される。検査数が5,000~6,000であれば400~500人である。
なぜ「コロナ 嗅覚」の検索トレンドが東京都の「陽性率」に先行するかについては、東京都がそもそも感染の実態や保健所への「相談件数」などを元に検査数を増やしており、最近は感染のスピードがそれをやや上回っているからではないかと思われる。
但し、最近はマスコミが「感染者数の多さ」を煽った結果、東京都では少し人の動きが減っているようであり、相談件数も連休後はやや減ってきている。そう考えれば、来週が一旦ピークを迎え、その後少し新規感染者数は減るのではないか。(GOTOトラベルの影響を受けた地方はまた別の話である。)