米国の失業者を吸収するコンタクト・トレーサー

新型コロナウイルスによるロックダウンで米国では4,000万人を超える失業者が発生したが、その中で求人が大幅に増えているのがコンタクト・トレーサー(接触追跡者)である。新型コロナウイルスにおける感染者の濃厚接触者を追跡するために求人が大幅に増えているが、仕事自体はHIVや麻疹、結核、果ては食中毒まで昔から様々な病気で活躍している。

基本的には感染者に連絡を取り、濃厚接触をした可能性のある家族や友人などの連絡先を取得し、そこから連絡して症状が出ているかを確認し、検査を勧めたり、症状が出ていない場合も14日の自宅待機を勧めたりなどをする職業である。

「専門家集団」として報道されることが多いが、そうした「誤解」が求職者が集まらない要因となっている。ニューヨーク大学の公衆衛生学部の教授で、かつては疾病対策予防センターのコンタクト・トレーサーだったクリスチアーナ・コイル氏は、「公衆衛生についてのトレーニングや経験が必要という誤解がある」と指摘する。

確かにコンタクト・トレーサーは一部の医学用語に慣れている必要はあるが、決して専門的なトレーニングが必要なわけではなく、特別な学位も必要ないという。

ジョージ・ワシントン大学の研究者らは米国ではコンタクト・トレーサーは18.4万人必要としており、論者によっては30万人必要としている。給与は地域によって異なるが、時給17-38ドルまで上昇している。

一方で、コンタクト・トレーサーを騙った詐欺師なども問題となっており、様々な意味で話題の職業であると言える。

参考文献[1]:CNBC, “How to become a contact tracer, one of the fastest-growing jobs in America”, 2 Jun 2020

参考文献[2]:WIRED, “How to avoid scammers posing as NHS contact tracers”, 2 Jun 2020

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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