中国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、死者も出ている。タイに引き続き日本でも武漢から帰国した人が新型コロナウイルスに感染したと思われる症状が報告されている。
ウイルス自体の感染経路は現時点では不明だが、懸念されるのは人から人への感染である。これから春節に差し掛かり、中国から大量の観光客が訪れる。中でも東京、大阪、バンコクは人気の目的地であり、台湾への旅行を規制している結果、更に日本に流れてくると見込まれている。
厚生労働省によると、現時点では持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠は無いとしつつも、感染した日本人については、
滞在国での行動歴: 本人からの報告によれば、武漢市の海鮮市場(華南海鮮城)には立ち寄っていない。中国において、詳細不明の肺炎患者と濃厚接触の可能性がある。
厚生労働省「新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について」
と濃厚接触が原因となっている可能性がある。また、武漢で人から人への感染と疑われるケースとして、感染が多く確認されている海鮮市場の従業員が発症した後、その妻(市場は訪れていない)が発症したものがある。
以下の議論は「新型コロナウイルスが人から人へと濃厚接触により感染する」と仮定した場合の話である。感染しないのであれば以下の議論は無意味であることに留意された。
濃厚接触には様々なパターンがある。例えば新型インフルエンザの時に策定された「新型インフルエンザ積極的疫学調査ガイドライン パンデミックフェーズ4~6」では、高危険接触者(濃厚接触者) が以下のように定義されている。危険度はア→エの順に高い。
ア.世帯内居住者
患者と同一住所に居住する者。
イ.医療関係者
患者の診察、処置、搬送等に PPE の装着なしに直接携わった医療関係者や搬送担 当者。
ウ.汚染物質への接触者
患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物などに、防護装備なしで接触 した者。具体的には手袋、マスク、手洗い等の防護対策なしで患者由来検体を取り扱 った検査従事者、患者の使用したトイレ、洗面所、寝具等の清掃を行った者等。
エ.直接対面接触者
手で触れること、会話することが可能な距離で、上記患者と対面で会話や挨拶等 の接触のあった者。接触時間は問わない。勤務先、学校、医療機関の待合室、会食 やパーティー、カラオケボックス等での近距離接触者等が該当する。
厚生労働省「新型インフルエンザ積極的疫学調査ガイドライン パンデミックフェーズ4~6」pp. 60-61
このうち今後中国からの観光客を考えれば、アとイのケースは少ないと思える。そうすると、相対的に危険性が高いのはウやエであるが、性風俗などでの濃厚接触がハブになる可能性は十分にある。
中国では性風俗が違法であり取締りも厳しくなってきている。なのでいわゆる闇風俗といったものも少なくなっており、こうしたものはリーガルリスクが高い。また、日本の性風俗の方が一般にサービスが良く、また中国の所得向上、日本のインフレ率の低さと円安から相対的に性風俗が「安く」なっており、観光客が行くケースが非常に増えている。
春節において日本に来る中国人観光客のうち、一定数が性風俗店を訪れて濃厚接触することで風俗嬢に感染し、そこがハブになって他の日本人にも拡がる可能性は十分にある。
実際、既に梅毒などの急増は中国人観光客の増加が一因となっている指摘もある。(参考:BLOGOS「梅毒急増は中国人観光客の「風俗爆買い」が一因 プレイの後は病院で検査を」)
なので最近はSARSの時のようにマスク関連株が買い漁られているようだが、短期的にこうした銘柄で遊ぶのには良いとしても、想定される感染経路を考えればマスクはあまり意味が無いように思える。
オススメ書籍:金益見(2008)『ラブホテル進化論』文藝春秋