世界の干ばつが砂糖不足を引き起こす

ここ数年、砂糖の国際価格が低迷していたが、2019年秋頃から底打ちして価格が上昇基調にある。以下は砂糖の国際価格(USD/ポンド)を示しているが、9月頃から大幅上昇している。

砂糖の国際価格推移(USD/pound)
出典:macrotrends

この背景にあるのが砂糖の供給不足懸念である。以下は砂糖の主要産地であるブラジル、インド、中国、EUに加え、日本の主要輸入先であるオーストラリア、タイ、グアテマラにおけるサトウキビ生産量(千トン)と砂糖生産量(千トン)について、農畜産業振興機構による2019/2020年度の予測値を示したものである。

主要砂糖生産国の2019/2020年度の生産量予測
出典:農畜産業振興機構「砂糖の国際需給・需給レポート」より筆者作成

ブラジルこそ天候が安定していて生産量は微増と予測されているものの、他は軒並み前年比で減少が予測されている。(EUの甜菜生産量は増加予想となっているが、それは2018年の干ばつによる大幅減少からの反発予測である。)

特にインドは、

  • 国際価格低下による減産
  • 2018年から続く干ばつによる生育不良
  • 2019年8月の豪雨によるサトウキビ畑の浸水被害

という踏んだり蹴ったりの状態であり、マハラシュトラ州では砂糖生産量が前年比で5割まで落ち込む見込みである。

参考:農畜産業振興機構「マハラシュトラ州、砂糖生産量が前年度の約5割まで落ち込む見込み」2020年1月8日

更に日本も深刻な影響を受けそうだ。日本の砂糖輸入先のうち、大半を占めるオーストラリア(71.1%)とタイ(28.1%)で殆どの砂糖輸入を占めるが、いずれも大幅な下落が見込まれる。

いずれも原因は干ばつである。タイが昨年から深刻な干ばつに見舞われていることは当サイトでも何度も指摘しているし、オーストラリアはここ数ヶ月の山火事の一因として深刻な干ばつが指摘される。

干ばつによりサトウキビから圧搾できる砂糖の割合が増えるケースがあることは指摘されるが、それ以上にサトウキビ生産量が減少する可能性が高いので、供給面に大きな影響が出る可能性がある。

世界の砂糖需給の推移を見てもその傾向は変わらない。下表を見ても分かる通り、世界の砂糖消費量は184,543千トンから185,535千トンと約0.5%微増が予測されているのに対し、世界の砂糖生産量の予測は187,051千トンから179,248千トンと約4.2%減が見込まれている。在庫の放出があると考えられるが、それでも供給面への悪影響はあるだろう。

世界の砂糖需給の推移
出典:農畜産業振興機構

一方でEUでは健康志向、タイでは砂糖税などにより砂糖の消費量が減少傾向にあることは価格を押し下げる要因である。しかし、中国が減産による供給不足分を輸入を増やすといった需要増加要因がある上、インドやインドネシアなど砂糖消費量が増加している国もあり、全体的には価格上昇トレンドが続くと見込まれる。

また、砂糖需要が多い米国でも異常気象によりサトウダイコンの生産量が減少しており、砂糖不足が問題となっている。農務省によれば2019年の収穫量が10%減少しっと見込まれており、製菓業者などに影響が出る他、砂糖輸入量が増えると考えられている。

参考:treehugger, “America is facing a sugar shortage”, 19 Dec 2019

Google Trendでの”sugar shortage”の検索トレンド(すべての国)を見ると、2016年頃の深刻な供給不足の時に比べればまだまだ少ないが、やや検索数が上向きになってきているように見える。一部の投資家は注目しているものの、一般にはそれほど知られていないので、まだ間に合うかもしれない。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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