ラマダンに向けて砂糖需要が増える

タイなどの砂糖生産量の減少により、インドネシアがタイからの輸入分を十分に確保できないことについて、余剰在庫を抱えるインドから輸入されることについては以前に指摘した。

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それとは別にインドネシア国内の需給に関しても幾つか問題がある。

既にインドネシアでは10月納品分に関して、1kg当たり12,000ルピア(約98円)から14,000-15,000ルピア(約114-122円)まで砂糖価格が上昇している。

インドネシア砂糖協会は、2020年の国際砂糖価格は停滞すると予測しているが、追加供給が無ければ4月のラマダン(断食月)で需要が更に増えるので、1kg当たり16,000ルピア(約130円)まで上昇する可能性があると指摘している。

ラマダンでは、日の出から日没までは断食するが、日没後にはいきなり通常の夕食を摂るのではなく、身体を慣らす為に砂糖やココナッツなどを使ったイフタールと呼ばれる食事がとられる。一般的にラマダンでは砂糖消費量が増える傾向があり、4月に向けて必要な在庫が増えると考えられる。

また、インドネシアは人口が増えているだけでなく、1人当たり砂糖消費量も増えている。(下図)

世界7ヶ国の1人当たり年間砂糖消費量(粗糖換算kg)
出典:農畜産業振興機構

一方で供給面ではインドネシアは粗糖生産を増やすことができず、2008年の255万トンから2018年には219万トンと14%減少している。 これについてはインドネシア砂糖専門家協会によると、サトウキビプランテーションの生産性の低さ、国有製糖工場の設備の古さなどが問題である。

こうした観点から見ても、インドネシアでの砂糖供給不足は今後も続くと見られ、輸入量は増加していくものと見られる。

追記:インドネシア物流局(Bulog)は、ラマダンまでに砂糖価格を安定させるために20万トンの砂糖を輸入できるようにインドネシア政府の承認を求めた。局の担当者によると、インドネシアのサトウキビはイフタール後の収穫になるため、ラマダンでの消費需要をまかなうために輸入の増加が必要という見方を示している。

参考文献[1]:The Jakarta Post, “Sugar imports needed shortly to curb price increase as demand surges”, 18 Feb 2020
参考文献[2]:The Jakarta Post, “Bulog seeks approval to import 200,000 tons of sugar ahead of Ramadan”, 19 Feb 2020

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