外出自粛中と通勤中の行動

ニッセイ基礎研究所は、「外出自粛中の有業者」が外出自粛によりどのような行動が増えたかについての調査結果を示した。

ニッセイ基礎研究所「新型コロナで変わる生活時間、消費構造にも影響-浮いた移動時間を何に使うのか」2020年5月25日

以下がその主要なデータである。筆者の第一感は「通勤中にできることが多い」というものだ。掃除・料理・運動・出前など自宅にいる時間が増えたことで誘発される行動もあるが、それ以外は基本的にはスマートフォンや本などがあれば実行できることが殆どである。

身動きが取れないほどの満員電車に乗っているのであれば別だが、通勤時間が長い人でも乗車中の全てにおいて身動きが取れないわけではない。そうすると、自ずとスマホを触ったり睡眠を摂ったりという人が多くなるわけだが、これは上記図で示される行動の多くと重複する。(睡眠の質は大きく異なるだろう。)

レポートでは、外出自粛下ではデジタル消費に費やす傾向が強いことを指摘した上で、

一方で今後、新しい生活様式に基づく外出も可能になる中で、消費者はどのような時間の使い方をするのだろうか。

消費行動が変われば、企業にとってのビジネス機会も変わる。デジタルかリアルか、家の中か外かという二者択一だけではなく、融合した形でのサービス提供も考えれば可能性は広がる。

出典:ニッセイ基礎研究所

と、人々の行動が変革していくことで企業にとって新たな機会を生まれると結論づけている。

しかし、筆者から家の中や外は関係なく平常時でもコロナ禍でも人々がやっていることは変わらないように見える。平常時は電車の中で行っていた「暇つぶし」が、外出自粛中は自宅で行われ、その時間が増えたくらいのものである。

それが段階的に経済活動が元に戻っていく中で新たな消費を生むとは思えない。動画配信サービスなど一部の市場は今後も伸びるだろうが、それで人々の行動が何か革命的に変わったと言えるのだろうか。通勤時間が増えたのと変わらないではないか。

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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