先日、正式にサウジアラビアが観光ビザの発給を開始した。女性観光客は目元以外を殆ど覆う黒い衣装アバヤの着用は免除されるが、控えめな服装やアルコールの禁止など観光客は基本的に宗教的な義務を守ることが求められる。
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そういった意味ではイスラム教徒以外はなかなか観光しづらい国でもあるが、中東以外の国ではマレーシアは海外旅行をする人が増えてきており、マレーシア旅行業者協会(MATTA)はサウジアラビアへのツアーなどのビジネス機会に心躍らせている。
元々、マレーシアからサウジアラビアを訪問する需要は多かった。それはまさにメッカへの巡礼目的であり、日本における代表的なイスラム金融研究者である吉田悦章氏によると、マレーシアにおけるイスラム金融のルーツも1963年に設立された巡礼基金であると指摘している。(吉田, 2007: 117)
(なお、この本はやや古いものの、イスラム金融のスキームや、各国のイスラム金融の歴史などが整理されており、名前の通りイスラム金融の入門書としては最適である。アマゾンで1円(2019年9月30日現在)だが、もっと評価されて良いと考えられる。)
もっとも、ビザ発給開始から間もないので、まだまだ仕組みが認知されていないだけでなく、オンライン申請の際などでも、巡礼ビザと観光ビザを間違えないようにするための仕組みや情報提供なども必要と考えられている。
こういった意味ではインドネシアなども豊富な人口とイスラム教徒の割合で可能性はあるが、イスラム金融の認知度や経済的に旅行に行ける人の割合などから考えても、まだまだこれからだろう。