スワップ(swap)とは「交換する」という意味である。金融ならクレジット・デフォルト・スワップで分かるだろうし、ITならスワッププログラムは基本中の基本である。スワッピングと表現してしまえばアダルトかつ非倫理的な交換を意味する。
Fast Company紙がオフィススワップについての記事を掲載していた。環境を変えると刺激されて創造性が高まるという新奇性効果(novelty effect)についての報告より、2つの会社で職場ごと入れ替えて気分を刷新しようとする取組みである。
記事でオフィススワップを行ったのは、リトアニア・ビリニュスにあるAndstudioとイタリア・フィレンツェにあるMuttnikという2つのデザイン会社である。
両社は最初は物流部分から取組み、今年は2週間のオフィススワップを実施したようである。両企業にとって環境を変えることによってインスピレーションが得られるだけでなく、専門家のネットワークを拡大する上でも役立ったという。
両社はオフィススワップを毎年の伝統にすることを決めており、一定の成果が得られたようである。記事での主張は「休暇などで旅行に行って新奇性効果を得るという人は多いが、なぜ休暇中だけに限定する必要があるのか」という発想である。
実際にオフィススワップを行うには設備やセキュリティなど様々な問題があるので、実効できる企業は少ないだろう。
しかし筆者が調べたところ、米国にはオフィススワップを仲介するSwap My Officeなるサービスがあるようで、月額9ドルまたは年額90ドルで物件を掲載して一時的に交換できるようである。
最近流行りのサブスクリプションモデルであり、民泊の延長のような形に見える。個人事業主やスモールスタートアップなど身軽な起業家には需要があるのだろう。(サービスの信頼性などについては知らない。)
参考文献:Fast Company, “This is what happened when two companies swapped offices—and countries”, 17 Sep 2019