世界中で経済活動が再開される中、元のスタイルに戻らないのがビュッフェ形式である。これは日本で言うバイキングだけでなく、一部のスーパーや惣菜屋などに見られるサラダバーや惣菜バーのような、客がセルフサービスで取って購入・飲食する形式も含む。
新型コロナウイルスの感染防止対策として、未だビュッフェ形式を中止している店舗が多く、再開していてもテーブルオーダーであったり、小皿に盛り付けられている事が多い。飛沫が飛びやすい環境に飲食物を置き、客がトングなどを共有するという理由で、今の状況下では再開しにくい雰囲気だろう。
今は日本でも東京以外はかなり感染が抑えられている状況だが、夏を過ぎて第二波が懸念されると、いつまでも経っても再開できないという状況も有り得る。
では、これはビュッフェのニューノーマルとなるのかと言えば疑問である。店員が小皿に一つ一つ盛り付けるとなれば、それだけ人件費がかかるわけで、そもそもビュッフェ形式のビジネスモデルのメリットが大きく損なわれる。有効なワクチンが開発されると戻るのか、或いは代替的な手段が使われるようになるのか、何らかの対策が必要である。
CNBCによれば、ビュッフェ形式を使えない市場環境下において、新しい機会を生み出しているという。カリフォルニアのChowbotics社は、Sally the Robotというロボットサラダバーを手掛けている。22種類の食材から8つまでを選んだメニューを登録し、タッチスクリーンやカードリーダーによってメニューを選ぶと90秒で提供される。サラダだけでなくヨーグルトなどを使ったメニュー、シリアルなども可能である。
参考:Chowbotics, Sally the Robot公式サイト
公式サイトの説明や動画によれば、本体は以下のように3フィート×3フィート(約0.84平方メートル)でそれほど場所は取らず、切った食材を入れておけば、タッチパネルでメニューを入れれば、綺麗に盛り付けられたサラダボウルが出てくるようになっている。
元は病院や大学の食堂など向けに主に提供されていたが、新型コロナウイルスに伴い大学キャンパスは閉鎖され、病院もコロナに集中することで他の治療やサービスが中止された。その中で注目されているのが飲食店などでの需要である。
同社CEOのリック・ウィルマー氏によれば、このロボットの導入は、導入トレーニング、メンテナンス、マーケティングまでを含めて35,000ドル程度だという。この価格であれば(飲食店の特性にもよるが)一つの飲食店が導入を検討できる価格であるだろう。想定される商品の価格帯も5~11ドルとのことで、多くの飲食店やスーパーなどの価格帯とも合致する。
問題は今のところサラダやシリアル、フルーツヨーグルトなどサイドメニューに限定されており、いわゆるメインディッシュとなり得るものの提供ができないことである。パンデミックによって会社への問い合わせが増えているが、同時にメインディッシュに対応してほしいという要望も多いという。