シンガポールで蚊の発生源を生んだ個人・企業への罰則を強化

新型コロナウイルスに伴うロックダウンで人の出入りが減っていた場所に蚊が繁殖し、人々が経済活動を再開し始めた事により、東南アジアでデング熱の感染が拡大している事は以前に指摘した。

前回取り上げたマレーシアは、流行した2019年並に増えていたが、もっと酷いのがシンガポールである。以下は年別のデング熱発症者数を示しているが、2020年(赤色)は、大流行した2014年や2019年を大幅に上回るスピードで増えていることが分かる。在シンガポール日本国大使館も注意を呼びかけている。

2014年以降のシンガポールでの週別デング熱発症者数
出典:WHO, “Dengue Situation Update Number 597”(PDF注意)

それだけシンガポールは徹底したロックダウンが行われていた証左であるが、新型コロナウイルスの感染が抑えられても、今度はデング熱が社会的に問題となっており、政府は強力が対策を進めている。

その一つが蚊のクラスター発生源を生み出した個人や企業に対しての罰金の引き上げである。排水口など水分が多い場所では蚊が繁殖しやすく、それを放置した家庭や企業には罰金が科される。個人に対する罰金は200シンガポールドルから300シンガポールドルへの引き上げられた。企業に対する罰金は、初版なら2,000シンガポールドルから3,000シンガポールドルに引き上げられ、最高で5,000シンガポールドルである。

国家環境庁(NEA)によれば、蚊の発生率は過去3年間と比べて50%増加しており、4月7日から6月1日のロックダウン中に家庭で検出された蚊の幼虫は5倍に増加している。

NEAは既に今年に入って351,000件以上の検査を実施し、8,600の蚊の繁殖地を発見した。このうち、1,200件に対して罰則が適用されている。

参考文献:Straits Times, “Heavier fines for those breeding mosquitoes as dengue cases rise”, 23 Jun 2020

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