米国・英国・カナダで傾向が異なるユニバーサル・ベーシック・インカムへの賛否

ギャラップ社がユニバーサル・ベーシック・インカムへの賛否について、米国・英国・カナダで行った調査結果を公表した。調査は2019年4-6月にかけて行われ、属性・人口統計で調整されている。

調査のポイントは、人工知能の進歩によって職を失った人を支援する方法としてユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)を採用することの賛否を問うものである。ユニバーサル・ベーシック・インカムは、職の有無を問わず無条件に所得補償を行うものである。

以下の2つのグラフは、1つ目が性別別の背賛成の割合、2つ目が年齢別の賛成の割合を示している。英国とカナダの賛成する割合がかなり高いのに対し、米国では半数以下に留まっている。

いずれの国でも女性および若い人の方が賛成する割合が高い。これは女性の方が社会保障を重視する傾向が強く、若い人ほどリベラルな考え方を持つ人が多いという一般的な傾向と一致する。

ここまでは賛成の割合に違いがあるものの、属性別の傾向は似ている。面白いのは以下の学歴別で見たケースである。英国とカナダでは低学歴ほど賛成割合が高い傾向があるのに対し、米国では高学歴ほど賛成割合が高いという違いである。

この背景として考えられるのは、英国とカナダでは社会全体でUBIの考え方が浸透しており社会保障の現実的な希望として拡がっているのに対し、米国ではリベラル傾向が強い知識人層の意識の高さとしてUBIに賛成する人が多く、社会全体としては概念の理解や普及があまり進んでいないからではないか。

実際、米国の「意識の高さ」が現れているのが以下のグラフである。以下は、UBIに賛成した人に対する質問で、

  • UBIの財源を提供するためにより高い税金を払う意志があるか
  • 人工知能の進歩で大きな利益を得た企業がより多くの税金を払ってUBIの財源を供給する必要があるか

に対する賛成の割合である。

見て分かるように、米国ではUBIに賛成する人の75%が高い税を払う意思があり、かつ、人工知能の恩恵を受けた企業も高い税を払うべきと考えている。これは米国におけるUBI支持者が持つ意識の高さや経済左派的な傾向が透けて見える。

一方で英国とカナダは、企業が払うべきと考える人の割合が高いのに対し、自身で高い税を払う意思がある人の割合は低い。これは現実的にUBIの賛成者が「UBIによるサポートがほしい」と考えていることによる賛成であり、自身で高い税を払う余裕があるわけではないことを意味するだろう。

最後のデータも属性別に出ているが、2つの質問の回答結果の比較が面白いので属性別の回答結果は割愛した。これらについては元の調査データを参照してほしい。

参考文献:GALLUP, “Universal Basic Income Favored in Canada, U.K. but Not in U.S.”, 30 Sep 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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