ウラン – それは死んだ市場ですか?――はい、そうです。

定期的に湧いてくるのがウランを勧める人たちである。勧めていないにしても定期的にウランやウラン関連企業を「2023年までに世界の原子炉は93基増える 将来ウランの需給は逼迫(ひっぱく)する 世界最大のウラン生産者、キャメコに注目(2014年4月)」だとか「商品市場で最悪のパフォーマンス示すウラン、減産で価格上昇か(2016年6月)」とかで上昇を示唆するような言葉が定期的に出てくる。

そして、つい先日もアンドリュー・ヘクト氏が“Uranium – Is It A Dead Market?”(ウラン – それは死んだ市場ですか?)というコラムを掲載した。筆者の回答としてはタイトルの通りである。

CME NYMEXウラン先物価格
出典:TradingView

2007年5月に148ドル/ポンドの最高値をつけて以降、金融危機とともに暴落していき、景気回復や地球温暖化対策としても世界的な原発推進の流れで回復の兆しが見えたかと思えば、福島原発事故によってその需要は停滞し、そのままずるずると下がり続けてきたのがウランである。2014年4月も2016年6月もその後どうなったかはチャートを見れば一目瞭然である。

こうした長期的なダウントレンド銘柄を勧める人は、2018年にビットコインのロングやトルコリラのロングを勧める人のようなもので、ウランに限らず耳を傾けてはいけないと筆者は考える。

確かに2017年以降は上昇基調であり、記事中で勧められている米国で唯一のウラン工場を持つEnergy Fuel<UUUU:NYSEAMERICAN>も2018年は上昇トレンドに転じているが、2019年に入って世界的なリスクオンムードに戻ると価格は停滞しており、敢えてウランや赤字を垂れ流しているウラン関連企業に投資しようとする気にはなれない。(しかもUUUUの場合、上昇理由はバナジウム価格の上昇が要因である。)

それでもヘクト氏は「中長期的展望」としてこの記事を書いているので、今後の可能性についての根拠については傾聴する価値がある。UUUUが有望な理由として以下のようなものが挙げられている。

  • カザフスタンが最大のウラン生産国(原子力開発にも積極的)
  • UUUUのウランとバナジウムの在庫減少
  • 中国、ロシア、インドの長期的な需要(人口増大、クリーンエネルギー需要)
  • 米国は海外へのエネルギー依存度が低く、UUUUに自国生産増加を促す可能性

確かに長期的には人口増加と経済成長に伴う電力需要や地球温暖化対策によってウラン需要は増えるかもしれない。しかし、その前に景気後退がやってくるという見方が強い。短中期的には市場のムードから考えて相応しい銘柄はいくらでもあるし、その後はリセッションによる需要落ち込みが予想される。その後まで待っても遅くはないと筆者は考える。

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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