未公開株式を指すプライベートエクイティへの投資が活発であり、投資家から集めた資金を使って未公開株式に投資するプライベートエクイティファンドの成長も著しい。
資産運用会社アライアンス・バーンスタインは、顧客への文書で、プライベートエクイティへの投資が中心になることで、不況時の株式市場に大きなリスクをもたらすことを指摘した。
プライベートエクイティの魅力が次のリセッションで株式市場と投資家に大きなリスクをもたらす(CNBC)
- 企業が簡単に資金調達できるようになり上場を選択しにくくなっており、個人投資家が株式市場で成長株に投資できる機会が少なくなっている
- 年金や寄付金の運用機関はオルタナティブ投資(プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、ヘッジファンド)に目を向ける傾向が高まっている
- 米国の上場企業が減少する一方で、プライベートエクイティのdry powder(手元資金)は2018年で11兆ドルと過去最高
- 資金がプライベートエクイティに移動するにつれて、主要な株価指数のボラティリティがお大きな影響を受ける可能性がある
- プライベートエクイティ投資の中には10年間のロックアップ期間を持つものがあり、不況に陥っても売ることができないので、株式市場の流動性が下がり、ボラティリティが上がる可能性がある
- 公開株式の取引手数料が上昇傾向にあるのに対し、プライベートエクイティの手数料は下落傾向にあるのも、プライベートエクイティへの資金流入の一助となっている
補足
プライベートエクイティ投資の発達により、企業が上場しなくても資金調達する手段が増えている。結果として上場する企業の「平均年齢」は上昇しており、上場した時には既に大きくなっている事が多くなり、個人投資家レベルでは大きな収益機会が減ってきている。
代わりにプライベートエクイティファンドに投資するという選択肢も拡がっている。本来、株式市場が大幅に下落すれば、他の投資資金を引き上げて株式市場に資金を投下するという選択肢が生じるが、ロックアップにより売りたい時に売れないという状況に陥る。
これにより、リセッションに陥った時に株式市場の流動性が損なわれ、ボラティリティが高まるのではないか、というのがアライアンス・バーンスタイン社の主張である。