新型コロナウイルスを抑える上で、米国などのようなロックダウンもあれば、日本のような「なんちゃって緊急事態宣言」など様々なやり方がある。それで交通量がどの程度変わっているのかを見たい。
交通量については世界で最も交通渋滞が深刻な国トップ15:Traffic Index 2019で利用したオランダのソフトウェア会社TomTomのサービスが便利である。これは交通渋滞の状況を見るためのもので、通勤や物流などにどれほどの影響があったかを見る上で便利だろう。
ここでは執筆時点(2020年4月9日)で参照できた4月2日~4月8日までの1週間の交通量を見る。
最初はアメリカのニューヨークだ。青い点線が2019年の平均交通量で、赤線は最新1週間の交通量である。見てわかるように、昨年と比べて非常に交通量が少ないことがわかる。平日・休日ともにピーク時の10%ほどしかなく、異様な世界であることがわかる。
次は東京である。ニューヨークほどではないが、やはり交通量は減っている。概ね半分程度には減少しており、車で毎日通勤する人も感覚的に一致するのではなかろうか。緊急事態宣言発令翌日の4月8日(水)はそれまでよりもやや減ったように見えるが、緊急事態宣言の効果が出ているかどうかは、もう少し見なければわからないだろう。
次はロックダウンをしないと公言しているスウェーデンの首都ストックホルムである。土日はあまり交通量が減っておらず、多くの人は平常時とあまり変わらずに外出していることが分かる。特徴的なのは平日で、朝のラッシュアワーは1/3程度まで減っているが、夕方のラッシュアワーはそこまでは減少していない。外国との人の行き来や物流が減っていることが原因だろうか。詳しい人がいれば教えていただきたい。
一方で、同様にロックダウンをしていないブラジルだが、最大都市サンパウロを見ると、交通量は昨年の1/3~1/4程度にまで減少していることが分かる。ロックダウンを拒否するボルソナロ大統領について、大半の国民は辞任に反対ということであるが、反対する動きも大きく、物流だけでなく心理的に不安な状態が続いていることが伺える。
最後は2019年のTraffic Indexで最悪の交通量を記録したインドのベンガルールだ。インドは強力なロックダウンを施しており、仕事を失った出稼ぎ労働者が地方へ帰るためにバスや鉄道で大混雑という本末転倒なことを繰り広げている。ロックダウンの効果はさすがで、ベンガルールの交通量は壊滅的な状況になっている。朝のラッシュアワーが午後1時というのがまず興味深いが、それはともかく、昨年の1/10以下になっている時間帯が多い。日曜日にいたっては殆ど人の動きが無いことが分かる。
Traffic Indexでは57ヶ国416都市が取り上げられているので、他にも見ているとおもしろい。以下に2019年のランキングのリンクを示しているので、そこから参照したい都市をクリックすれば過去の統計だけでなく本稿で紹介したlive trafficのデータも閲覧できる。