米国シンクタンクのピュー研究所の最新調査によると、トランプ大統領の世界情勢への対応についてのインド国民の評価は、「信頼・信任(Confidence)」していると回答した割合が政権発足4年間で最高の56%を記録した。
これだけ見ると徐々にトランプ大統領の政策が評価されているようだが、データを読み解いていくと興味深い。
以下は政権発足以後の調査結果である。2018年は調査が行われていない。2016年は信任と回答した人がわずか14%だったが、最新調査では56%と過半数を超えている。不信任の割合は微減くらいだが、大きく変わっているのは「分からない・回答拒否」の割合である。
これだけ見ると、インド国民の多くはトランプ大統領を信頼しているが、過激であるが故に支持を公言しにくい米国人と同様の結果に見える。
しかし、実態は異なると考えられる。以下は更に2014年まで遡って、オバマ大統領の信頼度も含めている。2016年は6月時点ではオバマ大統領、トランプ大統領は就任直後のデータだ。2013年以前までデータを遡れないのが残念だが、2014時点で見れば無回答がかなり多いことが分かる。
動きが似ているということについてはピュー研究所も指摘しているが、この背景には基本的にインド国民は米政権に対して肯定的であるが、その判断は「慎重」もしくは政権交代に対して「保守的」である傾向が見られる。
実際、インドではトランプ大統領の信頼感が高めではあるものの、貿易政策に対して48%は否定的であるなど決して政策全体が高く評価されているわけではない。
但し、ここ数年間の米中関係に対して、米国がインドに与える経済的影響については64%が肯定的(26%が否定的)であるのに対し、中国がインドに与える影響については肯定意見はわずか25%(64%が否定的)である。米国と中国のどちらとの関係を重視すべきかという質問に対しては62%が米国と回答しており、対米感情は良くなっている側面はある。