国際砂糖機関などは世界的な干ばつによる砂糖供給減少を予測しており、需要はそれほど変わらないので価格上昇圧力が強く、実際に価格は上昇傾向にある。しかし、インドでは幾つかの価格下落要因が示されている。
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国際砂糖機関は、砂糖輸入国は需給バランスを改善するためにインドから輸入するように奨励している。しかし、インド製糖工場協会(ISMA)は、インドにおける砂糖生産は、2019/20年こそ供給減が見込まれているが、2010/11年以降では、2015/16年および2016/17年以外は供給超過となっていることを指摘する。
ここ数年の砂糖価格下落は一連の豊作が原因だが、蓄積した余剰生産により、インドには800~1,000万トンの繰越在庫が存在する。今シーズンの供給はタイトであるが、インドが在庫を放出することで砂糖の国際価格は抑制されるという見方だ。
ISMA, “Buy sugar from India to help ease global prices”, 4 Feb 2020
またThe Hinduによれば、2019/20年シーズンこそ世界的に砂糖供給は不足するが、2020/21年シーズンのブラジルは、サトウキビの収穫量が増えて砂糖生産が10~11%増加して約30万トンに達すると予測されている。
The HIndu BusinessLine, “Sugar on the upswing; but will it sustain?”, 5 Feb 2020
この背景には、原油価格の下落によりサトウキビエタノールから製糖へのシフトも関係ある。エタノールから製糖へのシフトの可能性については当サイトでも以前に指摘した。
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また、インドにおいても長らく干ばつが深刻だったが、2019年11月の南西モンスーンにより主要生産地域の土壌水分量が改善され、2020/21年の砂糖生産量が10%以上増加する可能性を指摘している。
来シーズンの砂糖生産量が増加して需給バランスが改善する可能性については国際砂糖機関も指摘している。2019/20年こそ砂糖の需要不足は600~750万トンと推定されているが、2020/21年の需要不足は350万トンに減少すると見込んでいる。
但し同誌は、投機筋による砂糖高騰の流れを受け生産が増えることで更に数値が修正される可能性を指摘している。