CNBCによると、今年米国では主要なファストフードチェーンがメニューの種類を大きく削減している傾向があるという。
例えばメキシカンタコスなどを提供するタコベルは、チップスやサルサを含む9種類にメニューを削減した。マクドナルドはクォーターパウンダーなどの売れ筋商品を強調する一方で深夜や朝食に提供するメニューの数を減らしている。
他にもジャック・イン・ザ・ボックスやエルポロロコ(エルポヨロコ)などもメニューの種類を削減している。
メニューの種類を減らす理由は「提供速度を上げるため」である。ジャック・イン・ザ・ボックスは2021年末までにサービス提供時間を1分削減することを目標としている。
提供速度を上げるのに躍起になっているのは、米国ではドライブスルーによる購入客が非常に多いからである。ドライブスルーの環境下では、通常の店内飲食よりもストレスになりやすく、また行列ができていると機会損失を起こしやすい。
メニューの種類が多いと、(材料や調理器具の扱いなどで)厨房でメニューを作成する時間が余計にかかるだけでなく、顧客にとっても視認性が低いので、考える時間が長くなってしまう。人間の短期記憶能力の限界上、各カテゴリーで7メニュー以内に抑えることが分かりやすい。
メニューが多いことはより多くの顧客のニーズを汲み取れる。通常、人気の無いメニューが削除の対象にもなるが、少なからず好む人がいるもので、メニュー変更にクレームが出ることも多いという。
そんな顧客もすぐに慣れるという。タコベルでは「メニューから削除してから60日間は注文できるようにしている」という。大抵はその間にメニューから消えたことを忘れてしまい、慣れていくという。
こうした理由で、トレードオフ関係にあるとは言え、提供速度を上げる方がメリットが多いということで、米国ファストフードチェーンではメニューのスリム化が進んでいると言える。
参考文献:CNBC, “These fast-food chains have dropped menu items this year — here’s why”, 14 Sep 2019