Annual Relaxation Reportから見る世界の睡眠不足

日本人は世界的に見て睡眠時間が短いことは有名だが、それが個々人にとってどれだけストレスを与えているかは別問題である。ショートスリーパーなどを見ても分かる通り、遺伝的要因や社会環境、個人のライフスタイルなどで「個々人にとって必要な睡眠時間」は異なるはずだ。

米国の有名クルーズ船運行会社プリンセス・クルーズは、毎年各国で睡眠不足についての統計調査を行っている。2019年はWakefield Researchによって 米国、英国、オーストラリア、中国、インドネシア、シンガポール、ベトナム、メキシコの18才以上の各国1,000人を対象に実施された。

調査結果は10th Annual Relaxation Reportとして公開された。対象国が毎年異なり、2018年は日本も対象だったので、比較のために日本だけ前回調査のデータを利用する。

調査は主に、

  • 睡眠不足の有無
  • 週末に寝溜めを行っているか
  • 寝る前の習慣

が聞かれている。ここでの睡眠不足はあくまでも「主観」である。7時間寝たい人が7時間寝ていれば睡眠は不足していないが、9時間寝たい人が7時間しか寝られていなかったら不足していることになる。

以下は「睡眠不足だと感じている人の割合」である。2018年の順序で並べている。2019年は米国と中国が入れ替わっているが、概ね同様の傾向が見られる。

これを見ると、日本人の49%は睡眠不足を感じているが、調査対象国の中で見れば、決して高い割合ではない。英国、シンガポール、オーストラリアは60%を超える人が睡眠不足を感じている。

次は不足する睡眠を補うために1年に寝溜めに費やす日数である。これは延べ時間であり、毎週末に1時間多めに睡眠を取れば、年間で2.2日ということである。寝溜めをする習慣が無い人も多くいるので、平均の数値自体には大きな意味は無い。あくまでも比較の観点でのみ見るべきである。

メキシコは2019年のみ、こちらも日本は2018年のみである。ベトナムは睡眠不足を感じる人が少ない一方で、寝溜めをする時間は長く、今回調査では平均で10日間を寝溜めに費やしている。睡眠不足を感じる人が多かった英国やオーストラリアは、寝溜め時間自体はそれほど長くない。

日本は寝溜めを行う時間も少ない。働きすぎで休めないという人も多いと考えられるが、クルーズ船会社にとっては休まない日本人は魅力的なターゲットではないので、今回は調査対象から外されたのであろう。

レポートでは就寝前のお菓子・カフェインを含む飲料・アルコールなどが悪い習慣だとして挙げており、ベトナム人の生活習慣を見れば睡眠の質が低いのではないかと指摘されている。

以下は、就寝前に摂取するものの回答結果(複数回答)である。乳製品やノンカフェイン飲料といった睡眠前の習慣として良いものだけでなく、複数回答なので毎日ということはないと考えても、 日本人的な感覚からすればクッキー・ケーキといった回答が多いのが驚きである。

レポートには他のデータもあるが、これらのデータを見るだけでも日本人の睡眠に対するイメージが少し変わる。

日本人は睡眠時間が短いが、睡眠不足と感じている人の割合は国際的に見れば決して多くなく、休暇を睡眠時間に充てる傾向も低いということが分かる。その背景には、遺伝や社会環境だけでなく、睡眠前の習慣などによる睡眠の質が関係してそうである。

参考文献[1]:Princess Cruise, “Princess Cruises Expands Annual Relaxation Report Internationally”

参考文献[2]:Princess Cruise, “Princess Cruises 10th Annual Relaxation Report Finds Most of the World Still Not Getting Enough Sleep”

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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