なぜ西アフリカ諸国経済共同体は共通通貨ECOを導入するのか

AFPなどが報じたところによると、西アフリカ15ヶ国で構成される西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、域内で導入される共通通貨の名称を共同体の名前からECOと決定し、2020年までに通貨の導入を目指すと発表があった。

変動相場制や柔軟な金融政策を重視し、条件を満たした国から段階的に通貨統合を行っていく予定であるが、域内総生産の2/3をナイジェリアが占めるなど疑問を呈する声も多い。

参考:AFP「西アフリカ15か国、2020年に単一通貨「ECO」導入へ」2019年6月30日

共通通貨といえばユーロの失敗のイメージが強く、経済規模が異なる国同士で通貨統合を行うと、理論的には経済規模の加重平均が通貨全体の信用力となり、それが為替レートとなって現れる。

ユーロの場合、ドイツなど経済規模が大きな国においては規模に対して割安なレートになったことで輸出業などで大きな恩恵を受けたが、小さな規模の国においてどうなったかは改めて言うまでもない。

アフリカにおける通貨統合においては、ユーロの失敗を受けて東アフリカ共同体(EAC)でも難航しており、その中でECOWASは大きな前進を示したことは驚きのニュースとして受け止められた。

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ECOWASにおいてはナイジェリアが圧倒的に経済規模が大きく、その影響力も大きいのでなかなかうまくいかないという予想が多い。現にナイジェリアの為替レートは不安定であり、最近ではビットコインの方がマシという考えを持つ人も多く、価値貯蔵方法として広く普及するほどだ。選挙の時に見たように、その情勢はお世辞にも良いとは言えない。

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それでも周囲のアフリカ諸国が通貨統合に前向きなのは何故か。これはひとえにCFAフランの呪縛からの脱出であると考えられる。

CFAフランは、フランスの旧植民地であったアフリカ諸国で多く使われている通貨で、元々はフランに、現在はユーロへの固定レートを持つ。

ユーロに固定することは為替レートの安定化には寄与するが、一方で高止まりすることも意味し、為替レートの低さの恩恵を受けられない。

そして、多くの国がCFAフランを使っており、価値的には同じだが、それぞれに兌換性が無く、アフリカにおける自由貿易の流れを阻害する負の遺産でしかない、という考え方があるからだ。(象徴されるのが、未だこうした国はフランスに植民地税を払い続けているという実態である。)

ECOに通貨統合すれば、為替レートの不安定化をもたらす可能性はあるが、それでも域内貿易などにおいて恩恵を受けられる可能性があり、為替レートの高止まりについては現状と変わらないので、トータルで見て通貨統合に前向きなのである。

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