アフリカで市場を育てるということ

何らかのハードウェアメーカーで、多くの貧しい人が購入できるレベルで製品展開をできる企業というのはそう多くは無い。将来を見越して市場を育てるということはよく言われるが、事業リスクも高く、それが利益に繋がるのは相当先であるし、暫くは赤字の場合も多いだろうからだ。

それでもアフリカ大陸でもスマートフォンなどハードウェアの普及は進んでいる。以前に紹介した Global Digital Report 2019において、モバイルユーザーやモバイルソーシャルメディアユーザーの増加率を見ても、アフリカ大陸では人口の伸び以上にその成長率は顕著である。

地域別デジタル人口増加率
出典:Global Digital Report 2019より筆者作成

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ではその需要を誰が賄っているかと言えば、中国の新興企業である。特に Transsion(伝音)は2006年に設立して以来、アフリカ大陸とインドをターゲットにローエンドスマートフォンを開発・製造・販売し、今ではアフリカ最大の携帯電話・スマートフォンメーカーとなっている。

先日も上海証券取引所の新興市場に上場し、一時時価総額約7,000億円に達するほど注目されている。

もっとも、ファーウェイに知的財産権侵害で提訴されているし、研究開発費は収益の3.1%のみなど開発力には疑問点は多く指摘される。大手メーカーがローエンドモデルを開発して影響しているわけではないので、厳密な意味では「市場を育てる」という枠組みからは外れるかもしれないが、逆に言えば、そういったメーカーが殆ど存在しないからこそ成立するビジネスでもある。

Transsionに対抗してアフリカでスマートフォン事業を成長させようとしているのがルワンダの新興企業Mara Phonesである。最初の「アフリカ製スマートフォン」を売りにしており、Mara X(130ドル)とMara Z(190ドル)を発表している。

Mara Zの方はROMが32GB、RAMが3GBなどスペック的に見れば、中国や台湾のスマートフォンで流通しているものと比べればやや高めという印象である。同社もそれを認めているが、Made in Africaというものにお金を払ってもらえることを期待しているようで、そういう意味では「市場を育てる」というポジションだろう。

但し、この「ローエンドスマートフォン」は先進国で売られているようなものと同様のスペックであり、電力供給が問題とおなるような農村部などでは受け入れられないのではないかという指摘もある。常に家で安定した電力が供給されている場所ばかりではないので、こうした地域では何よりも大容量のバッテリーが重要であるという。

そういう意味では、まだまだアフリカに合ったスマートフォンが十分に供給されていないとも言え、いくらでもチャンスがあると言えよう。

参考文献[1]:all Africa, “Africa: How China Benefits From Africa’s Smartphone Boom”, 28 Oct 2019

参考文献[2]:maraphone, “Mara Z”

参考文献[3]:Fast Company, “Rwanda just released the first smartphone made entirely in Africa”, 9 Oct 2019

参考文献[4]:The Bridge「アフリカで躍進する中華スマホメーカーTranssion Holdings(伝音)、訴訟中にもかかわらずIPOで企業価値460億人民元(約7,000億円)を突破」2019年10月11日

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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