5月のインド総選挙では、政権交代の可能性も指摘されていたが、モディ首相率いるBJPら与党連合NDAが勝利し、ひとまず政権の安定化によってマーケットは好意的に受け止めている。
NDAは総議席数542のうち63%を獲得したが、人口統計学研究者であるクリストフ・ギルモート氏の空間分析によると、獲得議席と得票率には隔たりがあることが示されている。
下図は、NDAの地域別得票別を色でマッピングし、獲得議席を色付きの点でプロットしたものである。
茶色が濃い部分はNDAが多く得票できたところで、南部・東部と北部の一部を除いてNDAが非常に広範囲の支持を得られているように見える。
しかし、選挙人は地理的な偏りがあるので、NDAは45%しか得票していないが63%の議席を獲得しているという状況になっている。
それはともかく、重要なのは空間的な偏りである。あるNDAへの投票者と隣接して住んでいる人との投票先の自己相関は0.73に達し、地域的な偏りが非常に大きいことがわかっている。
この地理的な偏りは、2017年の州議会選挙で見られたものと非常によく似ており、下記事で示した画像における2017年のBJPの支持地域と非常に似ている。
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そして、これは以前の記事でも触れた通り、カーストや宗教などに影響される度合いが強く、貧困が問題になっていようと、なかなか投票性向は変わらず、「隣人に合わせる」という傾向が強いことが分かる。
この「ねじれ」の状態は選挙制度改革がなされない限り、今後も続いていくと予想され、その意味では選挙結果は予測しやすいものかもしれない。